水泳肩発症に股関節の柔軟性が関与したと考えられる一選手

ある選手の紹介をしたいと思います。

ツイッターの方では以前少しだけ紹介しました。

水泳肩の発症に一因に

股関節の柔軟性低下が関与した症例です。

同じような症状の人の参考になれば幸いです。

選手情報

主訴:左肩関節の動作時痛

年齢:20代

性別:女性

専門種目:バタフライ

練習頻度:週3回 (1回2000〜3000m)

競技レベル:地方大会入賞クラス

 

経過

半年前より肩関節の痛みを自覚。

痛みはクロールのキャッチ,リカバリーで強く現れていた。

痛みはウォーミングアップ時で特に強く

練習が半分くらい過ぎると軽減していた。

練習後にアイシングで様子をみるも症状改善せず。

現在は,バンザイ動作の最後の局面でも痛みが生じる。

 

詳細情報

1.視診

プールサイドでストリームラインを取ってもらうと

股関節は常に屈曲している状態であった。

そのため腰椎の前彎が強く

肩関節は常に過伸展を強いられている状況。

 

2. 関節可動域

肩関節屈曲:180°(170°以降,痛みを伴う)

肩関節外転:180°(150°付近で痛みが生じる)

肩関節外旋 (1st position):20°(痛みでこれ以上は動かせない)

 

3. special test 

Supraspinatus test(−)

Infraspinatus test(−)

Painful arc sign(+)

Hawkins-kennedy impingement test(+)

Neer impingement test(−)

Thomas test(+)

 

解説

Painful arc sign(+)

Hawkins-kennedy impingement test(+)

Neer impingement test(−)

これらの検査は

水泳肩(インピンジメント症候群)をみる検査です。

この選手の痛みの原因は

上腕骨と肩甲骨がぶつかるインピンジメントが原因のようです。

 

さらにこの選手はストリームラインは

おしりが後ろに突き出て,体がくの字をしていました。

体が前に傾いているにも関わらず

水面と平行の位置に両腕を置こうとするため

肩関節は過伸展となっています。

 

Thomas testは股関節を屈曲させる筋肉の一つである

腸腰筋の短縮を示唆する検査です。

また,大腿前面の大腿四頭筋の柔軟性も低下していました。

 

従って,

肩関節が過伸展した姿勢で泳いだため

肩関節に本来生じない過剰な負荷が生じたことが

インピンジメントの原因と考えました。

そして,肩関節の過伸展は

股関節前面の筋肉が硬いことが関与してそうでした。

 

トレーニング内容

肩関節周囲筋に対して

 肩関節外転運動(セラバンドにて)10回×3セット

 肩関節外旋運動(セラバンドにて)10回×3セット

 肩関節内旋運動(セラバンドにて)10回×3セット

(方法は以前の記事を参考にしてみてください)

 

股関節周囲筋に対して

 Thomas testと同じ肢位での腸腰筋ストレッチ

 大腿四頭筋のストレッチ

 

上記のトレーニングを行い,1ヶ月後に肩関節の症状は改善。

 

おわりに

今回は,肩関節の障害が股関節から生じていた可能性がある選手を紹介しました。

実際にはさらに細かい評価を行っていますが

ややこしくなりそうなので割愛しています。

 

今回の選手の例から勉強になることとして

水泳で使う部分(肩関節など)に注目するだけではなく

全身をバランスよくトレーニングすることが重要であるという点です。

 

水泳は全身運動といわれます。

そのことをもう一度思い出す必要がありそうです。


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