トレーニング強度の設定方法 (Critical Velocityの有用性について)

前回紹介したCritical Velocityは

乳酸閾値よりも高い運動強度の可能性がありました。

従ってEN2のトレーニング強度として使うには不安があります。

Critical Velocityを改めて考えてみたいと思います。

はじめに

T-3000やT-30から得られた結果は乳酸閾値を表すと考えられます。

理由として、

乳酸閾値を超えた強度で泳いでしまうと

疲労物質が急速に生成されるため

3000mや30分も泳ぎ続けられないからです。

従って, T-3000で得られた結果は

乳酸閾値付近の運動強度と考えられています1,2)

 

しかし,Critical Velocityは

短〜中距離のタイムトライアルの結果を用いてるため

乳酸閾値の運動強度を直接的に求めていることにはなりません。

Critical Velocityに関連したレビューがありましたので

その内容を一部抜粋してみていきます3)

 

Critical velocityと乳酸閾値について

先行研究を概観してみます。

 

トライアスリートを対象として

100-1500m泳のタイムトライアルよりCritical Velocityを算出。

その結果,Critical Velocityは 乳酸閾値となる泳速よりも11%速かった4)

 

成人男性水泳選手を対象として

50-400mのタイムトライアルよりCritical Velocityを算出。

200mと400mにおけるCritical Velocityは

乳酸閾値となる泳速よりも8〜10%速かった5)

 

これらの先行研究より

Critical Velocityは乳酸閾値の泳速よりも 8〜11%速いようです3)

 

Critical velocityとT-30

Critical VelocityとT-30を比較した先行研究がありました。

 

成人水泳選手(男性8名,女性2名)を対象として

200mと400mのタイムで計算したCritical Velocityは T-30の泳速よりも3.2%速かった。

100mと400m、50mと400mのタイムで計算したCritical Velocityは

T-30の泳速より5〜6%速かった6)

 

成人男性水泳選手を対象として

長距離のタイムトライアル (50〜1000m)より計算したCritical Velocityは

T-30と泳速が変わらなかった7,8)

 

これらの研究から

Critical Velocityの計算方法によって

T-30とのずれが変わるようです。

 

その他

今回参考にしたレビューに記載されていた

その他の注意事項をまとめます。

 

 

1. Critical velocityの94〜100%の運動強度でインターバルトレーニングを行うと  

 血中乳酸濃度は3〜6mmol/Lで安定する。

2. Critical velocityを求める際は3〜15分要する距離を用いるとよい

 (つまり,比較的長距離のタイムトライアルの結果を用いる)

 

まとめ

今回参考にした論文によると

Critical velocityは乳酸閾値よりも高い運動強度となるようです。

また,Critical velocityを算出するときは

長距離のタイムトライアルの結果を用いた方がよいことが提言されています。

 

以上のことから

実際にCritical velocityを算出する際は長距離のタイムトライアルを採用し

かつ

Critical velocityより8〜11%程度遅い泳速を算出して

トレーニングに用いる工夫などが必要になるでしょう。

 

しかし,

Critical velocityにしてもT-30にしても

得られた結果の運動強度はあくまで予測です。

実際のトレーニングでは常に心拍数を測定し

適切な強度でトレーニングができているか

確認することが大切だと思います。

 

参考文献

1) Olbrecht J,et al., Relationship be- tween swimming velocity and lactic acid concentration during con- tinuous and intermittent training exercise. Int J Sports Med : 74–77, 1985

2) Wakayoshi K, et al. Determining and validity of critical velocity as an index of swim- ming performance in the competitive swimmer. Eur J Appl Physiol 64: 153 – 157, 1992

3) Toubekis AG, Tokmakidis SP. Metabolic responses at various intensities relative to critical swimming velocity. J Strength Cond Res. 27(6):1731-41, 2013

4) Martin L, Whyte G. Comparison of critical swimming velocity and velocity at lactate threshold in elite triathletes. Int J Sports Med 21: 366–368, 2000

5) Kostoulas I. et al., Critical velocity and lactate threshold in high competitive level male swimmers. In: Scientific Congress “Research and Applications in Sports Science,” Abstract 32, pp. 101, 2011

6) Dekerle J. et al., Validity and Reliability of Critical Speed, Critical Stroke Rate, and Anaerobic Capacity in Relation to Front Crawl Swimming Performances. Int J Sports Med. 23(2):93-8, 2002

7) Costa A. et al., Can the curriculum be used to estimate critical velocity in young competitive swimmers? J Sports Sci Med 8: 17–23, 2009.


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