水泳の練習メニュー:SP1とEN3の違いを理解する

スイミングファーステストの分類で

SP1とEN3の違いがよく分からない…という質問を受けました。

スイミングファーステストの分類自体,

正確に生理学的な変化から作られた分類である保証もないですし

あくまで参考程度に留めておく程度でいいと思います。

しかし,メニューを作成する上でSP1とEN3の違いを考えてみることは

よりよいメニューを作る上で有用かもしれません。

今回は両者の違いについて考えてみます。

EN3とSP1の基本的な情報の整理

過去の記事より

EN3とSP1の内容のみ抜粋してまとめました。

 

EN3とSP1のトレーニング効果

〜EN3〜

・速筋線維を含めた全ての筋の最大酸素摂取量の増加

・速筋線維を含めた全ての筋周辺の毛細血管の増加

・全ての筋の乳酸耐性の向上

・全ての筋の乳酸除去能力の向上 など 

 

〜SP1〜

1次効果

・乳酸耐性が高まる(乳酸の緩衝領域の増加)

・激しいアシドーシスが発生しても,フォームを崩さずに泳げるようになる

・アシドーシスの苦痛に対する耐性が向上する など

2次効果

・ 筋肉中の筋グリコーゲン,ATP,CPの貯蔵量が増加する

・ 筋肉と血液からの乳酸除去スピードが向上する

・ 最大酸素摂取量が増加する など

 

EN3とSP1の1本あたりの距離

〜EN3〜

最大で2000mだが,どんな距離でも効果はかわらない

 

〜SP1〜

・100〜200mが基本

・スプリンターでは25〜100m

・ミドル,ディスタンスでは200〜500mでもSP1は可能

 

EN3とSP1のセットの長さ

〜EN3〜

・500m以上もしくは6分以上

・1200〜2000m以上もしくは15〜20分以上を推奨 

 

〜SP1〜

・300〜1200m

・スプリンターの場合は400〜800mが上限

 

EN3とSP1のレスト時間

〜EN3〜

・5〜30秒(短距離を反復する場合)

・15〜60秒(中距離を反復する場合)

・30〜120秒(長距離を反復する場合)

 

〜SP1〜

・5〜15秒(ショートスプリント法の場合)

・15〜60秒(ミディアムスプリント法の場合)

・5〜10分(ロングスプリント法の場合)

 

EN3とSP1のトレーニングスピード

〜EN3〜

・心拍数:最大心拍数

 

〜SP1〜

・乳酸閾値以上のペース

・筋内のpH値が低下し,激しいアシドーシスを起こすスピード

 

EN3とSP1の違いのまとめと解釈

大きな違いとして運動強度が挙げられます。

EN3は最大心拍数であるのに対して

SP1は乳酸閾値以上となります。

つまりSP1は体がアシドーシスになる運動強度であればよい訳です。

 

1本当たりの距離やトータルの運動時間は

EN3では明確な指定はなく

SP1では専門距離ごとに設定することが推奨されています。

 

EN3とSP1のトレーニング効果ですが

重複した効果も多いですが

特徴的なのはSP1において

「激しいアシドーシスが生じてもフォームを崩さない」

と記載されている点だと思います。

 

以上から

・EN3は基礎的な全身持久力向上の意味合いが強い

・SP1はレースを意識したトレーニングである

 さらに,専門種目で用いる筋肉をアシドーシスにすることで

 局所的な持久力の向上も狙っている。

 

という違いが見えてきます。

 

EN3、SP1のメニュー作成時の留意点

EN3、SP1の練習目的を達成するために

メニュー作成では以下の点に留意すべきと考えます。

 

〜EN3〜

・必ずしも専門種目で行う必要はない

・運動強度はほぼ全力~全力

・出来る限り運動強度は高く保つ

 

従って、いかに高強度の運動を維持させるかが重要です。

また、1本あたりの距離ですが

スイミングファーステストでは2000m以内ならよい、としています。

しかし長距離になるほど、高強度の運動を維持しづらいので

1本当たりの距離は50~200m程度が適当かと思います。

 

〜SP1〜

・専門種目でトレーニングは行う

・運動強度は必ずしも全力である必要はない。レースペース以上がよいか。

 

SP1は目的とする動作,専門種目の動作を繰り返し高強度で行うことが重要です。

専門種目に用いる筋でアシドーシスを生じさせるためには

適切なフォームを維持し、それを繰り返し実行しなくてはいけません。

SP1はレースに非常に近づいたメニューであると考えられます。

 

おわりに

EN3とSP1はトレーニング効果が似ている部分もあるかもしれませんが

トレーニングの目的と

目的達成のための方法に明確な違いがありました。

メニュー作成者は

スイマーにメニューの目的を十分に説明し

充実した練習になるように務めるべきだと思います。


SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*

CAPTCHA