水泳の練習メニュー:持久力トレーニングをEN3から考える

最大酸素摂取量を高めるトレーニングを検討するため

スイミングファーステストのEN3を参考にしたいと思います。

EN3を理解することで,

最大酸素摂取量を高めるトレーニング方法がみえてくるはずです。

 

スイミングファーステストにおけるEN3の内容

EN3の効果

・速筋線維を含めた全ての筋の最大酸素摂取量の増加

・速筋線維を含めた全ての筋周辺の毛細血管の増加

・全ての筋の乳酸耐性の向上

・全ての筋の乳酸除去能力の向上 など

 

EN3の1本あたりの距離

最大で2000mだが,どんな距離でも効果はかわらない

 

EN3のセットの長さ

・500m以上もしくは6分以上

・1200〜2000m以上もしくは15〜20分以上を推奨

 

EN3のレスト時間

・5〜30秒(短距離を反復する場合)

・15〜60秒(中距離を反復する場合)

・30〜120秒(長距離を反復する場合)

 

EN3のトレーニングスピード

・心拍数:最大心拍数

 

EN3のトレーニング効果の解釈

速筋線維への効果

速筋線維は主に乳酸閾値以上の運動強度で動員されるため,

乳酸閾値以上の運動強度であるEN3は速筋線維が動員されます。

速筋が動員された場合,

スピードの向上が期待できます。

 

乳酸耐性の向上

乳酸耐性とは「乳酸によるアシドーシスに耐えて泳ぎ続ける能力」と解釈していますが

 現在では乳酸は疲労物質ではなく,

筋のアシドーシスもそこまで筋収縮には影響しないことが示唆されていますので,

「乳酸耐性の向上」は表現として不適切かもしれません。

いずれにしても

「疲労物質が貯まった状態でも泳速を維持する能力」

という解釈でよいかと思います。

 

 

最大酸素摂取量を高めるトレーニング方法

以前の投稿で酸素摂取量に関わる要因として,

心拍出量と動静脈酸素較差があることを述べました。

このうち,

EN3は 特に動静脈酸素較差に対して影響を及ぼすトレーニングになると思います。

 

動静脈酸素較差を高めるトレーニング

動静脈酸素較差は,

ミトコンドリアの数の増加,

ミトコンドリアの大きさの増加,

毛細血管密度の増加などが影響しました1)

 

ミトコンドリア数については,

100%VO2maxで15分間のトレーニングが

他の運動強度と比較して

最もミトコンドリア数の増加がみられることがマウスの研究で明らかになっています2)

 

なお,ヒトにおいては

100%VO2max以上の運動強度を反復して実施することで,

最大酸素摂取量が増加することも報告されています3)

 

従って,運動強度が高い方が,

少なくともミトコンドリア数の増加については有利に働く可能性があります。

ミトコンドリアの数が増えるだけでは不十分とするマウスを用いた報告もありますが4)

現在のところ最大酸素摂取量の増加をトレーニングの目的とした場合,

高強度の運動を反復することが効果的だと思います。

 

運動強度とレスト時間について  

100%VO2maxの運動強度の泳速はほぼ全力,

心拍数もほぼ最大になります。

どのくらいの休憩時間が適切か,

これについては明確な基準はないようです。

スイミングファーステストでは,

100m×15〜20本,10〜30秒レストというトレーニングが紹介されています。

一方,いわゆる高強度インターバルトレーニングでは,

30秒間の全力運動を2〜5分の休憩を挟んで3〜7回実施する方法があります5)

 

まとめ

最大酸素摂取量の向上には様々な要因が関与します。

複数のトレーニング方法を組み合わせることで

最も効果的な持久力トレーニングになるでしょう。

 

参考文献

1) Jansson E, Kaijser L., Muscle adaptation to extreme endurance training in man. Acta Physiol Scand. 100(3) : 315-24, 1977

2) Dudley GA et al., Influence of exercise intensity and duration on biochemical adaptations in skeletal muscle. J Appl Physiol, 53 : 844-850, 1982

3) Sloth M et al., Effects of sprint interval training on VO2max and aerobic exercise performance: A systematic review and meta-analysis. Scand J Med Sci Sports. 23(6) : 341-352, 2013

4) Lin J et al., transcriptional co-activator PGC-1 alpha drives the information of slow-twitch muscle fibres. Nature. 418 : 797-801, 2002

5) Sloth M et al., Effects of sprint interval training on VO2max and aerobic exercise performance: A systematic review and meta-analysis. Scand J Med Sci Sports. 23(6) : 341-352, 2013


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