持久力を高める運動強度や頻度の再検討(スイミングファーステストの分類を用いずに)

今回は全身持久力を高める方法について

スイミングファーステストの分類を用いずに

先行研究を概観することで改めて考えていきます。

持久力を高める方法として,

スイミングファーステストの分類では

EN1,EN2,EN3がありました。

(参考:スイミングファーステストのトレーニング分類(持久力編))

 

そして,狙いは最大酸素摂取量の向上と

乳酸閾値となる運動強度を高めることでした。

(参考:最大酸素摂取量を高めるトレーニング乳酸閾値を高めるトレーニング)

 

ここで,EN1やEN2といったカテゴリー分類を一度忘れて

持久力の改善に効果的とされる運動強度や

運動頻度を改めて調べてみたいと思います。

 

持久力向上に効果的な運動強度

持久力を高める運動強度とはどのような運動強度でしょうか。

推奨されている運動強度をまとめてみます。

 

なお、%VO2maxや%HRmaxは運動強度を表す指標の一つです。

細かい説明は省きますが、100%VO2maxはほぼ全力です。

一方、100%HRmaxは最大心拍数を示しています。

最大心拍数は「220-年齢」で計算します。

最大心拍数に近いほど運動強度は高いことになります。

 

最大酸素摂取量の向上に効果的な運動強度

・100%VO2max付近1〜3)  (ほぼ全力)

 

乳酸閾値の改善に効果的な運動強度

・乳酸閾値より少し上の運動強度4,5)

・70〜90%HRmax (50〜85%VO2max)乳酸閾値付近の運動強度6,7)

 一方で,

・乳酸閾値付近の運動強度では 乳酸閾値の改善には効果がないとする報告もあります8)

 

効率の良い泳ぎの習得について

運動強度の話とは少しずれますが

効率の良い (Economical) 泳ぎの習得も持久力向上に必要です。

1回のストロークで進む距離が長く、

ストローク数が少ないほど疲労しにくくなります。

効率のよい動きの習得には

トレーニングの量を増やすことが重要であることも示唆されています9)

 

〜まとめ〜

最大酸素摂取量の向上には高強度の運動が必要なようです。

スイミングファーステストの分類のEN1は

最大酸素摂取量の向上に寄与する割合は小さいかもしれません。

むしろ, ストローク効率の改善など効率の良い泳ぎの習得のために

EN1付近の強度を用いるといいかと思います。

 

運動時間

過去の文献に

持久力向上のため必要な運動時間が以下のようにまとめられていました10)

 

70%HRmax以下:45分

70%HRmax:20〜30分

90%HRmax:10〜15分

 

また,持久力を検討した他の研究では

運動強度が80〜95%HRmaxの場合

運動時間は20〜30分としてる報告が多いです11,12)

 

〜まとめ〜

乳酸閾値以下の運動では

20分以上の運動時間を設けた方が十分なトレーニング効果が得られそうです。

 

運動頻度

持久力に関する総説をみますと

週3〜4回での研究が最も多いです13)

 

〜まとめ〜

運動強度にもよりますが

乳酸閾値以下の運動であれば

運動頻度は週3〜4回としていいのではないでしょうか。

 

おわりに

今回はスイミングファーステストの分類から離れて

持久力を高める方法をみてみました。

莫大な数の文献があり,様々な説があるため

今回紹介した内容が必ずしも正しいとは限らないかもしれません。

しかし, 持久力を高める方法を模索する上で 一つの参考になるかと思います。

 

参考文献

1) Vuorimaa T, Karvonen J. Recovery time in interval training for increasing aerobic capacity. Ann Sports Med 3: 215-9, 1988

2) Tabata I. et al. Metabolic profile of high intensity intermittent exercises. Med Sci Sports Exerc 29: 390-5, 1997

3) Laursen PB. et al., Interval training program optimisation in highly trained endurance cyclists. Med Sci Sports Exerc 34: 1801-7, 2002

4) Yoshida T, Udo M, Chida M, et al. Specificity of physiological adaptation to endurance training in distance runners and competitive walkers. Eur J Appl Physiol 61: 197-201, 1990

5) Billat V, Sirvent P, Lepretre PM, et al. Training effect on performance, substrate balance and blood lactate concentration at maximal lactate steady state in master endurance runners. Pflugers Arch 447: 875-83, 2004

6) Londeree BR. Effects of training on lactate/ventilatory thresholds : a meta-analysis. Med sic Sports Exerc 29 : 837-843, 1997

7) American College of Sports Medicine, Position stand. The recommended quantity and quality of exercise for developing and maintaining cardiorespiratory and muscular fitness in healthy adults. Med Sci Sports Exerc 22 : 265-274, 1990.

8) Lehmann M. et al. Training-over- training: a prospective, experimental study with experienced middle- and long-distance runners. Br J Sports Med 12: 444-52,1991

9) Morgan DW. et al., Variation in the aerobic demand of running among trained and untrained subjects. Med Sci Sports Exerc 27: 404-9, 1995

10) 市橋則明 編, 運動療法学, 2008

11) Tolfrey K. et al., Aerobic trainability of prepubertal boys and girls. Pediatr Exerc Sci 10: 248-63, 1998

12) MahonAD,et al., VO2max changes in children following endurance training. Med Sci Sports Exerc 21: 425-31, 1989

13) Georges B. et al., Endurance training and aerobic fitness in young people. Sports Med 33 : 1127-1143, 2003


SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*

CAPTCHA