水泳の練習メニュー:持久力とはなんだろう

持久力について考えていきます。

持久力と何気なく使っていますが

持久力とは何を指す言葉なのでしょうか。

持久力とは

持久力とは,

「一定のパフォーマンスをできるだけ長時間に渡って維持することが出来る能力」

と過去には定義されています1)

 

さらに,持久力は

「全身持久力 (全身の骨格筋の1/7〜1/6以上の筋肉が働く場合)」と

「局所持久力 (全身の骨格筋の1/7〜1/6以下の筋肉が働く場合)」に 分類されます2)

 

水泳は全身運動なので, 全身持久力の向上が特に大切になってきます。

従って,以前紹介した体力の分類のうち,

「全身持久力」に関与する心肺機能へのトレーニングは必須になってくると考えられます。

さらに全身持久力に関わる要素を考えていきます。

 

① 全身持久力に関わる要素:酸素摂取量

全身持久力を評価指標する方法として, 最も有名なのが最大酸素摂取量です。

最大酸素摂取量は, 一分間に体内に取り込むことの出来る酸素量の限界を指します。

従って,酸素をより体内に取り込むことの出来る人ほど

全身持久力が高いということになります。

酸素摂取量は以下の式で表されます。

 

酸素摂取量 = 心拍数×1回拍出量×動静脈酸素較差

 

それぞれの内容については以下の通りです。

心拍数:心臓の拍動の数です

1回拍出量:心臓が一回収縮する時に心臓から駆出される血液の量です

動静脈酸素較差:動脈に含まれる酸素含有量と静脈に含まれる酸素含有量の差です。         この値が大きいほど,体内の各器官で酸素が消費されていることを示します。

なお,心拍数と1回拍出量の積は心拍出量と呼ばれ,

一分間で心臓から駆出される血液量を表します。

 

② 全身持久力に関わる要素:乳酸閾値

乳酸閾値 (Lactate threshold : LT) も持久力の指標の一つです。

乳酸閾値は血中の乳酸濃度が急激に上昇する運動強度を指します。

乳酸閾値以降は体内の糖の利用が急激に高まるため血中乳酸濃度も上昇していきます3)

この乳酸閾値以降は疲労物質の産生量も高まるため,

乳酸閾値となる運動強度が高ければ高いほど,疲労しにくいと考えられます。

 

③ 全身持久力に関わる要素:OBLA

OBLA (Onset of Blood Lactate Accumulation) は

「血中乳酸濃度がおおむね急増し始める4 mmol/L の時の運動強度」と定義されます4)

 

運動強度を少しずつ増加させていくと,

血中乳酸濃度が4 mmol/L を越えた付近から,

LTとは別に一気に乳酸が増加する現象が見られます。

この時の運動強度はOBLA強度の運動強度と呼ばれ,

持久力の指標として用いられています。

水泳においてOBLAの強度が400m泳時のスピードと高い相関を示すことも報告されており,

持久力の指標として有用な可能性があります5)

 

まとめ

持久力に関わる要素を「最大酸素摂取量,乳酸閾値,OBLA」と紹介してきましたが,

それぞれの持久力の指標に影響する要因は少しずつ異なっているようです。

 

文献によりますと「最大酸素摂取量」は心臓が大きくなったり,

肺の酸素取り込み能力が高くなることによる呼吸循環能力の向上によって変化するようです。

 

一方,「乳酸閾値」については

作業筋におけるミトコンドリアの増加などが影響します。

OBLAについても乳酸閾値の変化と同様の変化が影響する可能性があります。

 

従って,一概に持久力の改善といっても,

最大酸素摂取量の改善を狙うのか,乳酸閾値の改善を狙うのかによって,

トレーニング内容が異なってくることが考えられます。

このことを踏まえて改めて

持久力トレーニングの内容を考える必要があると思います。

 

参考文献

1) 石河利寛 編. 持久力の科学. 1997

2) 市橋則明 編, 運動療法学, 2008

3) 八田秀雄 著,乳酸と運動生理・生化学,2009

4) 八田秀雄 著,乳酸をどう活かすか,2008

5) Wakayoshi K. et al., A simple method for determining critical speed as swimming fatigue threshold in competitive swimming. Int J Sports Med. 13(5):367-71. 1992.


SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*

CAPTCHA