水泳のトレーニング:高強度インターバルトレーニング

今回は新たな練習メニュー

高強度インターバルトレーニングを紹介したいと思います。

高強度の運動、短距離の運動を繰り返し行うことで

持久力の向上を狙うことができるトレーニング方法です。

トレーニング時間が非常に短いのが最大の特徴です。

トレーニング時間がとれない人に有効なトレーニングとなる可能性があります。

高強度インターバルトレーニングとは

高強度インターバルトレーニングとは

書き出しでも記載した通り

高強度の運動を短い休憩を挟んで連続して実施するトレーニングです1)

例えば

「20秒の全力運動を10秒の休憩をはさんで6セット…」

といった具合です。

これだと,たったの3分で終わります。

 

さて、この高強度インターバルトレーニングは実施方法はいくつかあり,

Tabataら2)やGibalaら方法3)が有名です。

概略を紹介します。

 

高強度インターバルトレーニングの実施方法

1. Tabataらの方法 (タバタプロトコール)

運動強度:170%VO2max (最大強度の90%以上)

運動時間:20秒

休憩時間:10秒 セット数:6〜7セット

 

2. Gibalaらの方法

運動強度:最大強度

運動時間:30秒

休憩時間:4分30秒

セット数:4〜6セット

頻度:週3回

 

いずれの方法も

ほぼ最大強度の運動であることで一致しています。

休憩時間に大きな差がみられます。

 

高強度インターバルトレーニングの効果について

1. 持久力の向上 (最大酸素摂取量の改善)

これまで持久力練といえば一定時間,一定強度で運動し続けるものでした。

しかし, 高強度インターバルトレーニングでは

短時間の実施でも最大酸素摂取量が高まることが

複数の研究から明らかとなっています4,5)

 

2. 速筋線維への刺激

高強度インターバルトレーニングは乳酸閾値以上の運動であり

速筋線維も動員されます。

 

なぜ,高強度のインターバルトレーニングによって

持久力が向上するか

そのメカニズムについてはここでは割愛しますが

いずれにしても興味深いトレーニングです。

 

高強度インターバルトレーニングは水泳のトレーニングになりうるか

高強度インターバルトレーニングは陸上やサイクリングで

多く検討されているとトレーニング方法です。

水泳においても高強度インターバルトレーニングの

トレーニング効果はあるのでしょうか。

 

私が調べたところ、

高強度インターバルトレーニングに近いトレーニングを実施して

水泳の競技力の変化を検討した研究はわずかでしたが

その内容を紹介していきます。

少し長いので興味のない人は

結論部分だけ読んでみて下さい。

 

Faudeらの研究6)

1. 概要

よくトレーニングされた水泳選手10名を対象とし

 ① 高容量低強度のトレーニング

 ② 低容量高強度のトレーニング

の両方を一定期間あけて実施 (クロスオーバーデザイン)。

それぞれのトレーニング期間は4週間

各トレーニング実施後は4〜12ヶ月の間をあける。

 

2. 測定項目

トレーニング前後の

 ① 気分プロフィール (POMS)

 ② 乳酸閾値

 ③ 100mのタイム

 ④ 400mのタイム

 

3. トレーニング内容

トレーニング頻度は週6回。

トレーニングの内容は

  1. Low-intesity endurance
  2. High-intensity endurance
  3. Intensive intervals
  4. Speed endurance
  5. Speed

の五種類を

「高容量低強度群 (HIT)」と「低容量高強度群(HVT)」で

実施割合をかえて行う。

 

~各トレーニングの詳細~

1. Low-intensity endurance  

距離:100m  

本数:20本  

休憩時間:10秒  

運動強度:乳酸閾値運動強度の97%  

各群の実施距離:HIT 38.3km,HVT 106.5km

 

2. High-intensity endurance  

距離:400m  

本数:5本  

休憩時間:90秒  

運動強度:乳酸閾値運動強度の101%  

各群の実施割合:HIT 8.4km,HVT 27.6km

 

3. Intensive intervals  

距離:100m  

本数:10本  

休憩時間:40秒  

運動強度:乳酸閾値運動強度の108%

 

もしくは  

 

距離:200m  

本数:5本  

休憩時間:60秒  

運動強度:乳酸閾値運動強度の105%  

各群の実施割合:HIT 7.1km,HVT 5.7km

 

4. speed endurance  

距離:本番の距離  

本数:? (論文に記載なし)

休憩時間:? (論文に記載なし)

運動強度:本番の速度  

各群の実施割合:HIT 7.5km,HVT 4.6km

 

5. speed  

距離:15〜25m  

本数:? (論文に記載なし)

休憩時間:? (論文に記載なし)

運動強度:最高速度  

各群の実施割合:HIT 2.0km,HVT 1.5km

 

4. 結果

HITとHVTのトレーニング前後において

POMS,100m,400mのタイムに変化無し。

乳酸閾値の運動強度は両トレーニングともに改善。

 

5.結論

「高容量低強度」のトレーニングは

「低容量高強度」のトレーニングよりも有効であるとはいいきれない。

 

6.寸評

この研究では

トレーニング時間を長く取らずとも

高強度の運動を行うことで持久力が改善することを示唆しています。

 

 

Kilenらの研究7)

1. 概要

よくトレーニングされた水泳選手41名を対象とし

高強度低容量のトレーニングもしくは通常のトレーニングを実施。

トレーニングは12週間行う。

 

2. 測定項目

① 100mクロールのタイム

② 200mクロールのタイム

③ 最大酸素摂取量

 

3. トレーニング内容

<通常トレーニング群>

トレーニング内容の記載無し

 

<高強度低容量群>

練習量は

通常トレーニング群の半分とし,

以下のようなトレーニングを組み込む。

運動強度:最大強度

運動時間:10〜30秒

休憩時間:2〜4分

セット数:6〜10セット

 

4. 結果

100m,200mのタイムおよび最大酸素摂取量は

高強度低容量群,コントロール群いずれも有意な改善なし。

 

5. 寸評

この研究では高強度インターバルトレーニングを行っているようですが

著明なトレーニング効果はでていません。

 

終わりに

実施時間の短い高強度インターバルトレーニングによって

実施時間の長い長距離練と同じような持久力能力の改善効果が得られるのであれば

空いた時間をドリルなどの技術的なトレーニングに当てる事ができます。

 

陸上やサイクリングでトレーニング効果が報告されていますが

スイミングではトレーニング効果の検討が不十分なようです。

 

また,ほぼ全力〜全力で泳ぎ続けるため

フォームは乱れやすく

故障のリスクも高まる可能性があります。

さらに疲労が強いため,実施頻度には注意が必要です。

 

以上のように

水泳における高強度インターバルトレーニングの

エビデンスはまだまだ少ないですが

個人的には非常に興味深いトレーニングだと感じています。

通常のメニューの最後に組み込むのも面白いかもしれません。

 

参考文献

1) Laursen PB and Jenkins DG., The Scientific basis for high-intensity interval training: optimizing training programmes and maximizing performance in highly trained endurance athletes. Sports Medicine, 32(1): 53-73, 2002

2) Tabata I et al.,Metabolic profile of high intensity intermittent exercise. Medicine and Science in Sports and Exercise, 29(3): 390-395, 1997

3) Gibala MJ et al., Physiological adaptations to low-volume, high-intensity interval training in health and disease. Journal of Physiology, 590: 1077-1084, 2012

4) Sloth M. et al., Effects of sprint interval training on VO2max and aerobic exercise performance: A systematic review and meta-analysis. Scand J Med Sci Sports. 23(6):e341-52, 2013

5) Gist NH. et al., Sprint interval training effects on aerobic capacity: a systematic review and meta-analysis. Sports Med. 44(2):269-79,2014

6) Faude O. et al., Volume vs. intensity in the training of competitive swimmers. Int J Sports Med 29(11):906-12, 2008

7) Kilen A. et al., Effects of 12 weeks high-intensity & reduced-volume training in elite athletes. PLoS One. 15;9(4):e95025, 2014 


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