レース用水着の選び方〜2016年のレース用水着を比較して〜

レース用の水着は何を意識して選びますか?

今回は2016年後半のレース用競泳水着を例にとって

各社ごとに特徴を比較しつつ考えてみます。

自分にあった水着を探す手がかりになれば幸いです。

レース用水着を選ぶ時の留意点

 まず押さえておかなくてはいけないのが

レース用の水着には非常に細かな規定があることです。

 

国際水泳連盟(FINA)の審査を通過した水着でないと

大会には出場できません。

参考:FINAの水着の規定について記載したページ

FINA REQUIREMENTS FOR SWIMWEAR APPROVAL (FRSA))

 

例えば水着の素材に関する規定では,

1.水着の素材は繊維のみ(ラバーは禁止)

2.素材の厚さは0.8mm以下

3.浮力の効果は0.5ニュートン以下

といったものがあります。

 

水着の違いがレース結果に直結するようなことがあってはならない,

これがFINAの方針です。

2009年以前の高速水着競争の時代を経て

性能が突出した水着を生まないための

事前防止策をFINAは打ち出したということです。

 

従って,市場に出回る水着は

FINAの基準をクリアしていることから

水着の生地などに大きな差はないはずです。

 

では,各メーカーはどこで他社の水着と差別化を図るのでしょうか。

 

各メーカーは水着のどこをセールスポイントとするか

結論から述べると,水着の機能です。

 

生地などの構造を高めるのはFINAからの規制により限界があります。

従って,水着の機能面で特色を出すことで

他社の水着との差別化を図るという訳です。

 

各メーカーの機能面の代表的な特色として

1.圧迫する強さの違い

2.繊維の張力を利用したキックや体幹保持のアシスト機能

が挙げられます。 

 

我々としては,これらの特色について理解すれば

より自分に合った水着を選択できるでしょう。

 

水着を選ぶ時の基準:水着による圧迫について

レーザーレーサーは非常に強い圧迫力を持つ水着として有名です。

そもそも水着による圧迫は

我々にどんな利益をもたらすのでしょうか。 

利点と欠点をまとめました。

 

水着による圧迫の利点1,2)

1.エアポケット(空気溜まり)が減る

2.筋肉の振動が減る

3.皮膚の振動が減る

 

これらの結果,抵抗が減少します。

 

水着による圧迫の欠点

1.過度の圧迫による運動の制限

2.圧迫による精神的ストレス

 

 これは実際に圧迫力の強い水着を着ると実感できます。

 

圧迫力の強い水着はどの種目に有効か

水から受ける抵抗のうち,

「粘性抵抗」は速度の二乗に比例して大きくなるため

泳速が速いほど抵抗を減らす努力が必要になります。 

従って,スプリント系の競技ほど

圧迫力の強い水着を選択する方がいいでしょう。 

 

逆に長距離を泳ぐ選手は

圧迫力の強い水着を選択する場合,

何度か着て実際に泳いで

自分にとって圧迫のストレスが気にならないか確認すべきです。

 

水着を選ぶ時の基準:動きのアシスト機能

これはメーカーによって非常に多種多様です。

自分の泳ぐ種目,クセや体格に合わせて選ぶ必要があるため

万人向けの選ぶ基準はないと考えます。

 

つまり,

ある人にとっては有効な水着であっても

他の人には効果が薄い水着となる可能性があります。

自分の泳ぎの特徴を把握していることが

自分にあった水着を選ぶための手がかりになると思います。

 

では,実際に2016年後半の有名メーカーの水着をみてみます。

 

Arena 〜Aquaforce lightning〜

アクアフォースライトニングの特徴は

キック力を補助する性能にあります。

Arena aquaforce lightning紹介ページ

 

アップキック,ダウンキックのどちらに対しても

アシストする機能を持ちます。

特に股関節を内旋,内転させるようなアシスト機能を持つ点は

個人的には面白いと感じています。

各個人の関節可動域やキックのクセによって

水着から得られる効果が変わってくるでしょう。

 

水着の種類

2種類の水着があります。

1.Power type

2.Flex type

 

専門種目に応じて

水着のタイプを変えることができるので

チームで水着をそろえるときには助かります。

 

Speedo 〜Fastskin LZR Racer〜

言わずとしれたレーザーレーサーの最新モデルです。

Speedo,Fastskin LZR Racer Xの紹介ページ

レーザーレーサーはその圧迫力が話題となりますが

圧迫力を調整した複数のモデルが発売されています。

 

水着の種類

全部で3つあります。

1. Fastskin LZR Racer X

2. Fastskin LZR Elite 2

3. Fastskin LZR Racer J

 

個人的には

「 Fastskin LZR Racer J」が

日本人向けに作られていることから

最も使いやすいと思います。

 

ミズノ〜SONIC SERIES〜 

ソニックシリーズの特徴としては,

他社にも似たような機能はあるものの

水着の生地が下半身を浮かせるように織られていることです。

 

ミズノの紹介ページにありますが

萩野選手はこの水着を着て

25mのバタフライのダッシュが0.4秒伸びたとか。

どの水着と比較したのか気になるところですけど…。

 泳いでいる最中に下半身が沈みやすい人に対しては

特に効果が大きい水着だと思います。

 

水着の種類

全部で2種類あります。

1.スプリンターモデル

2.マルチレーサーモデル

 

各メーカーの水着の特徴のまとめ

各メーカーのホームページで水着の概要を確認すると分かりますが

ぱっとみてもどのメーカーの水着が優れているか分かりません。

そこで,各メーカーの水着の特徴をまとめました。

swimsuit

こうしてみていくと

各メーカーの圧迫力については具体的な数値は出ていないものの

複数のモデルを用意して選手のニーズに対応しています。

また,アシスト機能は各メーカー間でそれなりの違いがみてとれます。

 

モデルケース

例えば,50m Frの短距離選手の場合,

キックのピッチは速いため

キックのアシストは欲しいところです。

高速でのキックには股関節の内旋・内転の動きより

大腿四頭筋の機能を補助してもらったほうがよいように感じますので

僕はLZR Racer Xを選択します。

 

また,Brの選手の場合は

そもそもキックの方法が他の3種目と異なること,

さらにストリームラインを保持する時間が長いことなどから

GX Sonic Ⅲのmulti Racer modelがよいと思います。

 

まとめ

自分にあった水着を選択するには

自分の専門種目と距離,泳ぎのクセなどを把握する必要があります。

また,水着の生地といった構造面に注目するよりも

水着の機能に注目して選ぶことが重要だと考えます。

 

水着選びの参考になれば幸いです。

 

参考資料

 

スピード(speedo) FASTSKIN LZR RACER X ハイウエストジャマー SD75C52 K ブラック SS

 

arena(アリーナ) メンズ 競泳用 水着 ハーフスパッツ アクアフォース ライトニング ブラック×ピンク ARN-6003M BKPK SSサイズ

 

MIZUNO(ミズノ) 水着 GX-SONIC III MR ハーフスパッツ[メンズ] N2MB600292 92)ブラック×ブルー XS

参考文献

1) Mountjoy M et al., Medical complications of an aquatic innovation. Br J Sports Med 43:979–980, 2009

2) Gordan D. et al., Environmental Success Factors or the Justification for the Prohibition of High-Tech Swimsuits in Swimming. Coll. Antropol. 39 Suppl. 1: 181–184, 2015


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