水泳の呼吸制限,ハイポトレーニングは効果があるのか

呼吸を制限するトレーニング,

いわゆるハイポトレーニングは

水泳の練習メニューにおいてたびたび目にします。

これは何を意図してどのようなトレーニング効果があるのでしょうか。

スイミングファーステストに

ハイポキシックトレーニング (hypoxic training) として紹介されています。

スイミングファーステストの記載を参考に

最近の研究結果も踏まえてハイポトレーニングの有用性について検討します。

 

ハイポトレーニングとは

ハイポトレーニングとは

もともと呼吸を制限して体を低酸素状態にし

高地トレーニングと同じようなトレーニング効果を狙うものでした。

メニューとしては

100×5 1’40 hyp 1/7

(hyp 1/7は,7回腕をかく間に1回呼吸して下さい,ということ)

 

50×8 1’00 0〜15m dolphin kick,15〜25m swim

などがあります。

 

ハイポトレーニングのトレーニング効果

ハイポトレーニングによって

高地トレーニングと同じ効果を出すことは難しいようです1,2)

すなわち,

短時間の呼吸制限によって体内の酸素が足りなくなる状況を作ることで

酸素が薄い高地トレーニングと同等の効果が得られるのではないか

という仮説がありましたが現在は否定されている,ということです。

結論として,

スイミングファーステストでは

持久力を高める方法としてハイポトレーニングの有用性は否定しています。

 

ハイポトレーニングを何に活かす?

同じくスイミングファーステストでは

ハイポトレーニングの重要なトレーニング効果として

呼吸を我慢する能力が高まることを述べています。

二酸化炭素が体内に過剰に蓄積した状態 (hypercapnia) で

息苦しい状況でも

呼吸を我慢できる能力をハイポトレーニングで養えるとしています。

呼吸を我慢する局面は意外と多く

短距離選手やターン前後のドルフィンキックなどです。

 

ハイポトレーニングのトレーニング頻度

これもスイミングファーステストから。

呼吸を我慢する能力は短期間 (2〜3週間) で高まるようです。

週2〜3回の実施を推奨しています。

特にスプリンターはシーズン序盤に3〜4週間,毎日実施し

hypercapniaに対しての耐性をつけます。

残りのシーズンは週1〜2回の実施で十分のようです。

 

最近の研究では

最近では2015年に一つ報告がありました。

これによるとハイポトレーニングによって

呼吸に関わる筋や機能が改善し持久力が高まることを示唆しています3)

よって,ハイポトレーニングが一概に持久力向上に寄与しないとも言い切れないようです。

 

おわりに

ハイポトレーニングの効果については

まだ諸説ありそうで明確な結論が出ていません。

少なくともスプリンターにとっては

必要なトレーニングになると考えていますので

トレーニング効果をみながら適宜練習に組み込んでいくのが

よいのではないかと考えています。

 

参考文献

1)Van N. et al., Controlled frequency breathing does not alter blood lactate levels in competitive swimmers. Medicine and Science in Sports and Exercise. 21 (2); 104, 1989

2)Yamamoto Y. et al., The effects of controlled respiration rate on metabolic responses to sub maximal intermittent exercise. Medicine and Science in Sports and Exercise. 17 (2); 230, 1985

3)Lavin KM. et al., Controlled-frequency breath swimming improves swimming performance and running economy. Scand J Med Sci Sports. 25(1):16-24, 2015


SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*

CAPTCHA