オーバートレーニング症候群を予防するために

少しでも速くなりたい、

その思いが強いほどトレーニング量は増えていきます。

しかし、トレーニングと休養は等価値です。

今回は、休養を十分にとらないことで生じる障害

オーバートレーニング症候群です。

早期にオーバートレーニングに気付き

重症化を防ぐ必要があります。

オーバートレーニング症候群とは

文献の定義では

「過重なトレーニングによって過労状態となり

その結果パフォーマンスの低下をきたし、

短期間の休息やトレーニング量の減少によっても

疲労が容易に回復しなくなった状態」

となっています1.2)。

また,激しいトレーニングを行う選手の

10~20%に生じるようです3)。

 

オーバートレーニング症候群の症状2)

「症候群」と名前がついているように

多彩な症状が特徴です。

 

・パフォーマンスの低下、疲労

・身体症状

  動悸、息切れ、立ちくらみ、胸痛、手足のしびれ、体重減少

・精神症状

  不眠、易興奮性、いらだち、不安、抑うつ

 

オーバートレーニング症候群が生じる原因2)

主たる原因としてトレーニング量の増大が挙げられますが

それ以外にも様々な誘因があります。

 

1.不十分な休養、睡眠不足

2.過密な試合、移動スケジュール

3.単調なトレーニング

4.栄養不足

5.高度、気温、湿度などの外的環境の不良

6.仕事、勉強など日常生活におけるストレス

7.かぜなどの病気回復期の不適切なトレーニング

 

オーバートレーニング症候群の重症度

オーバートレーニング症候群は軽症~重症まで分類されています5)。

それぞれについてみていきます。

 

1.軽症

 強度の高いトレーニング時のみ症状が出現

 競技成績の低下も軽度

2.中等症

 日常生活や軽いトレーニングでも症状が出現

 競技成績も明らかに低下

3.重症

 日常生活の症状が強く、トレーニングもほとんどできない

 不眠がみられ、うつ傾向を示すこともある

 

オーバートレーニング症候群からの回復

オーバートレーニング症候群が生じてしまった場合は

 

1.原因を除く

2.一定期間トレーニングを軽減,休養する

3.時間をかけて徐々にトレーニングを再開する

 

ことで回復を図ります6)

 

軽症の場合はトレーニングを軽減する程度でよいですが

中等症,重症ではストレッチを除いて完全休養が求められます。

中等症の完全休養の期間は1週間程度

重症の場合は個人差が大きいためその都度検討します

 

また,元のレベルに戻るまでには

軽症:3〜4週

中等症:1〜2ヶ月

重症:3〜6ヶ月

くらいの時間を要します6)

しかし,これはあくまで目安で

実際の回復までの期間は個人差が大きいようです

 

オーバートレーニング症候群を予防するために5)

オーバートレーニングを未然に防ぐために

以下のようなことが提唱されています。

 

1.トレーニングに関する正しい知識を持つ

トレーニング自体は体を消耗させ、破壊する行為であること、

トレーニング効果は回復によって身につく、

ということを十分に肝に銘じておくべきです。

トレーニングと休養は等価値です。

休養を取ることの重要性を理解しましょう。

 

2.選手のコンディションに応じて、トレーニング計画を柔軟に変更する

メニュー作成者であれば

選手の回復度合い、コンディションに応じて

トレーニング強度を変更したり休養を組み込みます。

一番最初に立てたシーズンプランはあくまで予定であり、

選手一人ずつにあったプランをその都度練り直します

 

また,オーバートレーニング症候群の兆候を見逃さないために

 

1.運動能力の低下

2.自覚的な疲労感

3.疲労に伴う生理的変化

に注意を払います。

簡便な方法として,

自覚的,主観的な疲労度調査を

週に1度程度行ってみてもいいと思います。

 

おわりに

オーバートレーニング症候群についてまとめました。

休息を十分に取ることが非常に重要です。

繰り返しになりますが

休息はトレーニングの一環であることを理解し,

休む時は勇気を持って休むようにしましょう。

 

参考文献

1)Morgan WP. et al., Psychological monitoring of overtraining and staleness. Brit. J. Sports Med. 21 : 107-114, 1987

2)小田切優子 他, オーバートレーニング症候群とは, 臨床スポーツ医学 23(8), 877-881, 2006

3)Overtraining, The challenge of prevention. The Second Annual USOC/ACSM Human performance Summit. A concensus Statement, 1998

4)Halson SL. et al., Does overtraining exist? An analysis of overreaching and overtraining research. Sports Med. 34 (14), 967-981, 2004

5)川原貴, オーバートレーニング症候群の予防, 臨床スポーツ医学 23(8), 919-924, 2006

6)川原貴, スポーツと疲労, 治療 90(3), 509-513, 2008


SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*

CAPTCHA