水泳のレースの分析方法〜速くなるヒントを探す〜

比較的最近の水泳に関する論文で

水泳レースの構成要素のまとめがありましたので紹介します。

速くなるためには何を勉強しなければならないのか,

これを見ると少し頭がすっきりしますね。

 水泳のレースの構成要素と分析項目が

参考文献には以下のように記載されていました1)

 

水泳のレースの構成要素(swimming segments)

・スイム (Free swimming)

・スタート (Starts)

・ターン (Turns)

・フィニッシュ (Finishes)

 

各要素の定義

各要素の定義は以下の通りです。

 

・スタート:スタートの合図が鳴ってから15mを通過するまで

・ターン:壁前後の5m(7.5mとしている文献もあります)

・フィニッシュ:壁の前までの5mからタッチまで

・スイム:スタート,ターン,フィニッシュ以外の部分

 

ここから,さらに各要素を詳細に分析するための

分析項目が紹介されています。 

 

分析項目 (Analysis Categories)

1.時系列的要素 (Temporal)

・ラップタイム (Lap time)

・スタートタイム (Start time)

・回転時間 (Rotation time)

・壁面接触時間 (Wall contact time)

 

2.運動学的要素 (Kinematic)

・ストローク長 (Stroke length)

・ストロークレート,ピッチ (Stroke rate)

・泳速 (Swim velocity)

・加速度 (Acceleration)

 

3.動力学的要素 (Kinetic)

・最大接触力 (Peak impact force)

・壁面を押す水平力積 (Horizontal impulse at wall push-off)

 

 

上記の全ての項目がレースに関わり,

トレーニングの対象になります。

 

また,重要な点として各項目が密接に関わり合っていることが挙げられます。

例えば,

「泳速」は「ストローク長」と「ストロークレート」の積です。

「力 (N:ニュートン)」は「加速度 (m/sec2)」と「質量 (kg)」の積です。

「ラップタイム」を縮めるためには,もちろん「泳速」を高める必要があります。

 

実際に分析してみる

実際に使うとなると以下の手順になると思います。

 1.自分のレースを各構成要素に分解して,タイムを計算する。

2.特に遅くなっている要素をピックアップする。

3.なぜその要素が遅いのか分析項目を参考に分析する。

 

ケースステディとして

ターンの部分で他の選手と明らかに差をつけられる選手がいるとすれば

ターンを構成する分析項目を考えてみます。

すなわち,

 

1.時系列的要素 (Temporal)

・回転時間

 

2.運動学的要素 (Kinematic)

・ターンに入るまでの泳速

・ターン後の加速

 

3.動力学的要素 (Kinetic)

・壁を押す力

 

つまり,一概にターンといっても

ターン前に減速している,

ターンそのものが遅い,

ターン後の加速がない,

などターンを構成する要素をさらに分解できるということです。

 

そして,例えばターン後の加速が遅いのであれば

壁を蹴る力を高めるといいのかもしれません。

その場合は,基礎的な筋力の他に

ドロップジャンプなどの

より実際の動きに近いトレーニングを組み込むとよいと思います。

 

ターンそのものが遅い場合は

体をたたむ時間が遅いのか,

体を開く時間が遅いのか,

さらに細かくみていくことになります。

 

おわりに

マクロな視点からミクロな視点へと視野をかえていくことで

レースの内容を漏れなく分析できます。

 

この項目分けが水泳の競技力の全てを網羅しているとは思えませんが

水泳のレースの分析方法を理解する上では

参考になる資料だと思います。

 

また,世界選手権の各選手のラップタイムについては

過去の記事で検討しました。

合わせて参考にしてみてください。

 

参考文献 

1) Mooney R et al., Inertial Sensor Technology for Elite Swimming Performance Analysis: A Systematic Review. Sensors (Basel) Dec 25; 16(1), 2015


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