水泳の練習メニュー : スプリントトレーニングを再考する

スイミングファーステストにおける

スプリント系(SP系)の練習メニューカテゴリーを再検証してみます。

これによってスプリントトレーニングを理解する手掛かりになると思います。

 

SP1を考え直す

まずはスイミングファーステストのSP1の復習から。

 

SP1の効果

1次効果

・乳酸耐性が高まる(乳酸の緩衝領域の増加)

・激しいアシドーシスが発生しても,フォームを崩さずに泳げるようになる

・アシドーシスの苦痛に対する耐性が向上する など

2次効果

・筋肉中の筋グリコーゲン,ATP,CPの貯蔵量が増加する

・筋肉と血液からの乳酸除去スピードが向上する

・最大酸素摂取量が増加する など

 

SP1の1本あたりの距離

・100〜200mが基本

・スプリンターでは25〜100m

・ミドル,ディスタンスでは200〜500mでもSP1は可能

 

SP1のセットの長さ

・300〜1200m

・スプリンターの場合は400〜800mが上限

 

SP1のレスト時間

・5〜15秒(ショートスプリント法の場合)

・15〜60秒(ミディアムスプリント法の場合)

・5〜10分(ロングスプリント法の場合)

 

SP1のトレーニングスピード

・乳酸閾値以上のペース

・筋内のpH値が低下し,激しいアシドーシスを起こすスピード

 

SP1の効果の解釈

スプリント能力の向上には 「最大泳速の向上」 「泳速の維持」が必要であると述べました。

その中でもSP1は

主に「泳速の維持」が目的となるかと思います。

 

スイミングファーステストが出版された頃には

乳酸は疲労物質の中心と考えられていたことから,

SP1の目的に「乳酸耐性を高める」という表現が使われています。

この「乳酸耐性」が高まることで泳速の維持が可能になる、という解釈でしょう。

現在は、乳酸は疲労物質と考えられていないですが

疲労物質がたまった状態でも泳ぎ続ける能力を養う、というSP1の目的は変わらないと思います。

 

SP1のトレーニング方法の特徴

SP1は高強度の運動を連続して実施します。

疲労物質をためた状態で泳ぐ必要があるためSP2よりもレスト時間が短いのが特徴です。

しかし,いかんせん疲労がたまったまま泳ぎ続けるので,フォームは乱れやすいです。

 

 

SP2を考え直す

まずはSP2の復習です。

 

SP2の効果

1次効果

・無酸素代謝の効率が向上

・スプリントの最高速が向上

2次効果

・筋肉中のATP,CPの貯蔵量が増加する

・CPによるATP再合成効率の向上

・筋肉の発揮できるパワーの向上

・乳酸耐性の向上 など

 

SP2の1本あたりの距離

・25〜50m

 

SP2のセットの長さ

・300〜600m

 

SP2のレスト時間

・1〜3分(1本当たりの距離が25mの場合)

・3〜5分(1本当たりの距離が50mの場合)

 

SP2のトレーニングスピード

・ほぼ全速力

 

SP2の解釈

SP2は最高泳速を高めるトレーニングです。

毎回,全力、最高速度で泳ぐことが意味を持つトレーニングであり,

疲労が十分に抜けた状態で2本目以降を泳ぐことになります

いかに速筋線維を動員できるかが勝負です。

 

 

 

SP3を考え直す

SP3の効果

1次効果

・筋力の向上

・筋肉が効率よく力を発揮できるようになる など

2次効果

・筋肉中のATP,CPの貯蔵量が増加する など

 

SP3の1本あたりの距離

・10〜12.5m

 

SP3のセットの長さ

・50〜300m

 

SP3のレスト時間

・45〜120秒

・セットレストは2〜3分

 

SP3のトレーニングスピード

・全力か,ほぼ全速力

 

SP3の効果について

スイミングファーステストにも記載されていますが,

SP3の目的はストロークやキックから生み出されるパワーの向上です。

力学的にパワーは,

「単位時間になされた仕事」もしくは「力×速度」

と定義されています1)

 

従って,

パワー(仕事率)をP,

力をF,

速度をvとすると「P = F×v」となります。

 

力は速筋線維の肥大などで達成されるため, ストロークを全速力で行い,

パワーを養うことがSP3の目的となります。

 

まとめ

スイミングファーステストを参考にスプリントを考えてみました。

実際のメニューは改めて紹介していきたいと思います。

 

参考文献

1) 奈良勲 編,筋力,2004


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