水泳に筋力トレーニングは必要か?

水泳に筋トレは必要でしょうか。

筋肉がつくことによって

抵抗が増えてよくない,と考えるコーチもいるようです。

今回は水泳の筋トレの必要性について考えます。

水泳選手に筋力トレーニングは必要か

私は筋トレは必要と考えます。

筋トレによって,水泳に関わる以下の2つの事柄について

改善が見込めるものと考えています。

 1. ケガの発生率

 2. 競技力

 

筋トレの目的①:ケガを予防する

水泳は水の中という非日常の環境で行うスポーツです。

なので、水泳で使う筋肉は普段の生活で付きづらいのが特徴です。

初心者では水泳に必要な筋肉が十分にない状態で

水泳のトレーニング量を増やしたりすると

肩や腰を痛めてしまうことになります。

 

そのため,水泳に必要な筋肉を意識して鍛えることで

故障予防つながることは容易に想像できます。

水泳選手の故障予防に関わる筋力トレーニングについては

かなりのボリュームになるので

ここでは割愛し,いずれ記載します。

 

筋力トレの目的②:競技力を向上させる

例えばスプリンターの競技力は

ストロークパワーと密接に関係していました。

ストロークパワーは「筋力」と「速度」の積でした。

筋力は「筋断面積」の影響をうけます。

従って、

筋力トレーニングを行い、筋断面積を増加させることで

スプリンターの競技力が高まることが考えられます。

実際はどうでしょうか?

過去の研究を少し紹介します。

 

<Garridoらの研究2)

被験者

競泳選手25名 (male:14名,female:11名)

 

方法 

通常の水泳のトレーニングに加えて筋トレを追加

 

筋トレの内容

Bench press:6RMの50〜70%の重さを6〜8回,2〜3set

      (6RMは7回以上繰り返し挙げられない重量)

Leg extension:6RMの50〜70%の重さを6〜8回,2〜3set

Counter movement Jump:8回を2〜3set

Medicine ball exercise (1kg)

 

上記の筋トレを8週間(週2回)実施。

8週間の前後のタイムを比較。

 

結果

bench pressで挙げる重量と25m,50mのタイムとの間に

中程度の相関を認めた。

(つまりbench pressで重たい重量をあげれるほど,タイムがよい)

 

寸評

短距離レースの結果に

筋トレは影響するものと考えられます。

また、Bench pressの重量と関係がないとする報告もあるようなので

この結果は鵜呑みにはできないかもしれません。

 

今回紹介する研究は1つですが

他の研究をみるとbench pressなどの筋トレっぽい筋トレが

水泳のパフォーマンスに及ぼす影響を検討した報告は少なく

medicine ballやswim benchを用いた研究が多かったです3)

筋トレと競技力の関係性についてもいずれまとめたいと思います。

 

おまけ

オーストラリアのオリンピックチームの

筋力トレーニングの例があります4)

実施者は2000年シドニー五輪200m Flyの銅メダリスト

Justin Norrisです。

行っている内容に対する根拠は分かりませんし

詳細な説明も記載されていなかったのですが

参考資料にはなるかもしれません。

 

Justin Norrisの筋力トレーニング

①プログラムの目標

筋肥大,最大筋力の向上,

最大パワーの向上,筋持久力の向上

 

②プログラム遂行時の注意点

・大筋群を用いる運動から小筋群を動員する運動へと

 運動順序を調節する

・上半身と下半身の運動を交互に行う

・主動筋と拮抗筋の運動を交互に行う

・水泳に関わる主要な筋を動員する運動を先に行う

 

③トレーニング内容

<ウォーミングアップ>

バイク5分

スクワットジャンプ:10 (数字は回数を示す)

スメディシンボール・スタンディングサイドパス:15

ディップ:10

メディシンボール・シングルアームパス:15

ローテーターカフ内旋、外旋、多方向運動

コアエクササイズ

 

<1日目と3日目>

キャッチでの内側/外側への回転:8-8-6-6 (数字は回数を示す)

アイソメトリックスクワット:6-6-6-4

重錘をつけての懸垂:8-8-6-6

オルタネート・ダンベルベンチプレス:6-6-6-6

グルータル/ヒップマシーン:8-8-8-8

ツイストマシーン:8-8-8-8

スイムベンチ:20秒-20秒-20秒-20秒

腹筋:200+静的維持運動

 

<2日目と4日目>

メディシンボール・プルオーバー:6-6-6-6

オルタネート・ダンベルベンチプレス:8-8-6-6

シングルアーム・ラットプルダウン:8-8-6-6

スプリングボード上にてシングルレッグ・スクワット:6-6-6-6

ボディブレード:8-8-6-6

トラベリング・ランジ:6-6-6-6

スイスボール上にて

 メディシンボール・チェストパス:6-6-6-6

腹筋:200+静的維持運動

 

<その他>

スイスボール

 クランチ:20×2

 ロシアンツイスト:20×2

 レッグタック(片脚):20×2

 ブリッジ:30×2

 オウン・セレクション:30×2

 

メディシンボール

 サイドパス:20×2

 オーバーヘッド投げ:30×2

 ツイスト:30×2

 下腹部:30×2

 足へのメディシンボールクランチ:30×2

 

<寸評>

1日目と2日目の間がどれくらいか

スイスボールやメディシンボールのトレーニングが

どれくらいの頻度で組み込まれているか

などの情報は書いていませんでした。

 

特徴として,

肩の回旋に関わる筋力訓練を行い肩の故障予防に努めていること

体幹部を鍛えるトレーニングが多いことが挙げられると思います。

 

まとめ

水泳で筋トレが必要か? という問いかけに対しては

「必要である」と答えていいと思います。

少なくとも多くのスイミングや部活

そしてナショナルチームで筋トレを取り入れている現状から

現場でも経験的に筋トレが必要と悟っているのだと思います。

 

参考文献

1) Journal of the international society of swimming coaching, vol 2, issue 1, 2012

2) Garrido N et al., Does combined dry land strength and aerobic training inhibit performance of young competitive swimmers? J Sports Sci Med ; 9(2):300-10, 2010

3) Pedro GM et al., The effect of dry-land strength training on swimming performance: a brief review. J Human Sport & Exercise 2(9): 553-559, 2012

4) Newton RU et al., Strength and Power Training of Australian Olympic Swimmers.Strength and Conditioning Journal.24 (3): 7-15, 2002


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