水泳と筋トレ(筋トレは筋肉の何を変えるのか)

水泳選手に筋トレは必要であることは

以前述べました。

今回からは水泳選手が筋トレをする上で必要な

最低限の知識をまとめていきます。

水泳選手に筋トレは必要である

まずは復習です。

水泳選手に筋トレは必要だと私は考えています。

 

筋トレをする理由としては

1.ケガの予防

2.競技力の向上

の二つが挙げられます。

(参考:水泳に筋力トレーニングは必要か

 

さらに,専門とする種目によって

筋トレ内容は変わります。

短距離選手は競技力向上のためには

筋パワーが必要であり

長距離選手は筋持久力が必要となります。

種目によって筋トレのメニューが変わるのは

当然のことと言えます。

 

そもそも筋力とか筋パワーとは何を指す??

意外と盲点なのが

筋力や筋パワーといった言葉の意味です。

それぞれの言葉の意味の違いを理解し,

競技に及ぼす影響を知る必要があります。

 

1.筋力とは

筋力とは

「筋力は収縮性を持つ組織が張力を産生する能力」

と定義されています1)

また,

「筋力は1回の最大努力を行う間に,

抵抗を克服するために筋または筋群によって及ぼされる,

測定可能な最大の力」

とも言われています。

 

つまり,

筋肉がどれくらいの力で収縮できるのか…

ということを表していると考えてよいと思います。

 

2.筋パワーとは

筋パワーとは

「運動の力と速度に関連し,

筋によって生み出される仕事(力×距離)を

単位時間あたりで表したもの(力×距離 / 時間)」

と定義されます1)

 

(距離 / 時間)は速度でもあるため,

(力×速度)と表現してもいいかもしれません。

例としては,

重たい物を一瞬で持ち上げることが出来る人は筋パワーが高い,

ということが出来ます。

 

筋力は収縮する力を指すのに対して,

筋パワーは収縮する力に速度という要素が加わったものを指しています。

水泳競技でいえば,

ストロークをゆっくり行う競技(長距離種目)よりも

ストローク速度が速い短距離種目の方が筋パワーは必要になります。

 

3.筋持久力とは

筋持久力とは

「負荷に対して筋が繰り返し収縮し,

張力を産生して持続させ,長時間にわたり疲労に抵抗する能力」

と定義されます1)

 

筋力と筋持久力は,

強い関連性があるとは考えられておらず,

例え筋力が高くても,筋持久力が低い人はいます。

分けて考えて,個別にトレーニングするのがいいと思います。

 

トレーニングによって筋の何が変わるのか

 

筋トレによって筋肉に生じる変化を知ることで

目的に応じたトレーニングプログラムが立案できます。

 

1.筋の肥大

筋トレによって筋肉は肥大します。

そして,筋の断面積が大きいほど,

発揮できる筋張力は大きくなります。

具体的には筋原線維の体積が肥大するとされています。

高強度のトレーニングを行うと2〜3週後に

中等度〜高強度のトレーニングを行うと4〜8週で

筋肥大が生じます。

 

2.筋の過形成

筋肥大の中心は筋原線維の体積増加が中心ですが

筋線維の数が増加する過形成によっても

筋肥大が生じるとも考えられています。

 

3.骨格筋内の毛細血管床,ミトコンドリアの変化

筋肥大に伴って筋線維一本あたりの

毛細血管数は減少します。

 

4.神経の活動の変化

1. 動員される運動単位の増加

筋肉を動かす上では,神経の働きが必須です。

筋肉を構成する筋線維に神経が接続しており,

一本の神経(運動ニューロン)が支配する筋線維を運動単位と呼びます。

筋トレによって神経の活動が変化し,

この運動単位が多く動員されるようになります。

その結果,張力は増加します。

この変化は筋トレの初期に生じます。

 

2. 神経の発火頻度の増加

神経活動が生じることを発火といいます。

運動ニューロンが活動することによって筋線維は収縮しますが,

運動ニューロンが繰り返し発火することで,

筋線維は持続的に収縮するため,筋張力が増加します。

 

3. 運動単位の動員の同期化

多くの運動ニューロンが同時に発火し,

運動単位を一度に動員した場合は,大きな筋張力が生じます。

これを運動単位の同期化といいます。

一方,運動単位を一度に動員せず,

少しずつ動員する神経をかえると滑らかな動きが生じます。

これは運動単位の非同期化と呼ばれます。

 

筋トレプログラムの作成に関わる要素

上記のような変化を筋に起こすためには

様々なことに留意して筋トレプログラムを作成する必要があります。

考慮すべき要素を以下に列挙します。

 

1.運動強度

負荷量です。

どの程度の重さを用いるのか。

 

2.運動量

1セットで何回運動を行うのか。

何セット行うのか。

 

3.休憩時間

どの程度休息を挟むのか。

 

4.運動方式

筋収縮の方法(求心性収縮,遠心性収縮,等尺性収縮)や

運動時の姿勢など。

 

5.運動頻度

週に何回行うのか。

 

 

おわりに

今回は筋トレに関する基礎的な知識を整頓しました。

この知識をベースに

次回以降,筋トレプログラムの立案方法を検討していきたいと思います。

 

参考文献

1)キャロライン・キスナー 著,運動療法大全,ガイアブックス

 


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