左右のストロークのタイミングを考える

クロールで左右のストロークをどのタイミングで行うか考えたことがあるでしょうか。

言い換えると左右のストローク戦略です。

一番有名なのはキャッチアップです。

しかし,スプリントの選手はキャッチアップで泳ぐ事はありません。

 

左右のストローク戦略を意識することで

何かメリットはあるでしょうか。

左右のストローク戦略の分類1)

英語では「arm coordination」と記載されています。

日本語直訳で「腕の協調性」です。

直訳では少し理解しにくいので

「ストローク戦略」と意訳することにします。

ストローク戦略は以下のように分類されています。

 

1.catch up

これは一番イメージしやすいと思います。

片方のストロークが終わり,リカバリーの途中に

もう片方のストロークが始まります。

 

2.opposition

oppositionと呼ばれるストローク戦略の分類は

片方のストロークが終わった瞬間に

もう片方のストロークが始まります。

 

3.superposition

このストローク戦略は

片方のストロークが終わる前に

もう片方のストロークが始まります。

 

以下に簡単な概念図を示します。

strokeco.001

ストローク戦略を泳ぎに応用する

距離や疲労によってストローク戦略は変わっていきます。

ストローク戦略は泳ぎのどのような局面に影響しているのでしょうか。

 

泳ぐ距離による違い1,2)

一流の男性競泳選手が中長距離を泳ぐときは

「catch up」を使う傾向があります。

一方,一流の男性競泳選手が短距離を泳ぐときは

「opposition」もしくは「superposition」を用いています。

スプリンターがキャッチアップで泳ぐ姿は見た事がありません。

 

泳速を高めるためには

「opposition」もしくは「superposition」といったストローク戦略が

求められるようです。

 

疲労の影響2)

技術が十分ではない競泳選手は

疲労により泳速が低下していくと

「opposition」「superposition」の

ストローク戦略を使うことが報告されています。

 

つまり,疲労すると

いたずらに腕を回して前に進もうとする,ということです。

一方,一流選手はレースの最初から最後まで

ストローク戦略に変化がありません。

レース終盤のストロークレートなどの大幅な変化は

タイムの短縮に結びつかない可能性が高いです。

 

性別による違い3)

女性は泳速が上がってきても

「catch up」のストローク戦略をとる傾向があります。

 

 

ストローク戦略のトレーニングを日々のトレーニングに組み込む

1.泳速を上げるためのストローク戦略

短距離選手が泳速を高めるためには

「superposition」に近づくストローク戦略が求められます。

 

従って,短距離選手は

「リカバリー」と

「リカバリーとストロークのいずれにも属さない時間(ホールド)」の

時間を減らし

「ストローク」の時間の割合を増やすよう意識してみてもいいでしょう。

 

なお,リカバリーの時間を減らすのは限界があるので

ホールドの時間がほとんどなくなる,ということになります。

自分の理想的な

「superposition」をみつける必要があります。

 

2.疲労でもストローク戦略を崩さないトレーニング

疲労した状況で多くの人が意識するのは

「フォームの維持」です。

そこに「ストローク戦略の維持」

を追加します。

 

 

疲労した状況をSP1などで再現し

その時に「ストローク戦略」を保持するよう意識します。

 

 

おわりに

今回は左右のストローク戦略を解説しました。

以前紹介した「ストローク長とストロークレート:泳速に関わる要素」と

あわせて考えることで

よりよいレース戦略が組み立てられると思います。

 

参考文献

1.Chollet, D., Chalies, S., Chatard, J.C.,  A new index of coordination for the crawl: description and usefulness. Int J Sports Med 21: 54–59. 2000

2.Potdevin, F, Bril, B, Sidney, M, and Pelayo, P. Stroke frequency and arm coordination in front crawl swimming. Int J Sports Med 27:193–198. 2006

3.Seifert, L, Boulesteix, L, and Chollet, D. Effect of gender on the adaptation of arm coordination in front crawl. Int J Sports Med 25: 217–223, 2004


SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*

CAPTCHA