ダイエットに効果的な水泳の練習メニューとは何か

今回はダイエットに効果的な水泳の練習メニューを考えていきます。

水泳は全身運動でダイエットにいいとよく言われます。

では,どんなメニューを組めば

効率よく脂肪を燃焼させることができるのでしょうか。

ダイエットに関する基本的な知識

ダイエットとは少し話がずれますが,

健康維持のための運動について文献を紹介します。

 

健康づくりのための身体活動基準 (2013年) では

日常の運動について以下のような運動目標を奨励しています1)

対象:18~64歳の人

運動強度:3メッツ以上の強度(息が弾み汗をかく程度)

運動時間:毎週60分(30分以上の運動を週に2日以上)

 

また,アメリカスポーツ医学会の2009年の勧告では2)

運動強度:中強度(3.0~5.9 メッツ)

運動時間:1週間に150〜250分

と記載されています。

 

そして,上記の運動では体重の増加予防には有効だが

体重の減少には効果的ではないことが記されています。

 

なお,メッツは運動強度を表す単位であり

おおよそ以下のようになっています。

3メッツ:歩行 (分速70m)

5メッツ:速歩 (分速107m)

8メッツ:クロールをゆっくり泳ぐ

11メッツ:クロールを速めに泳ぐ

 

アメリカスポーツ医学会の勧告を参考にすると

ダイエットのためには 運動強度は中強度(3.0~5.9 メッツ)以上

そして 1週間に250分以上の運動をすればいい…

となるのかもしれませんが,

明確な指標は提示されていません。

次に運動強度についてみていきます。

 

運動強度と脂肪燃焼量 (運動中の脂肪燃焼量の変化)

結論から言うと

運動中の脂肪燃焼割合が最も大きい運動強度は

乳酸閾値付近です。

 

例えば

25%VO2max,65%VO2max,85%VO2maxの強度で

自転車運動を行った際のエネルギー代謝を比較した研究では

65%VO2maxが筋脂肪からエネルギーを得る量が

多いことが報告されています3)

(65%VO2maxは大体乳酸閾値くらいの運動強度です)

 

つまり65%VO2maxの運動強度が他の運動強度よりも

脂肪の燃焼に効果的であることを示しています。

 

また, Vanらの研究でも55%Wmaxの運動で

血中遊離脂肪酸とその他の脂質の利用が高まることが報告されています4)

 

しかし,運動終了後も体はエネルギーを消費し続けています。

運動終了後のエネルギー消費も含めると

ダイエットに効果的な運動強度はどうなるでしょうか。

 

運動強度と脂肪燃焼量 (運動終了後の脂肪燃焼量も含めた場合)

これについては現段階では低強度の運動でも高強度の運動でも

24時間でみた脂肪燃焼量は変わらない,と考えられています5,6)

 

つまり,体脂肪量の減少に関わる要素として

運動強度よりも総エネルギー消費量に着目した方がよいということです。

そう考えるとダイエットに効果的な運動強度は

なんでもいい,ということになります。

 

ただし,乳酸閾値以下の運動強度だと  

疲労物質が貯まりにくいため

運動の継続が比較的楽です。

また,高強度の運動の場合,体への負担も大きいため

私は乳酸閾値付近の運動の方がよいかと考えます。

 

 

サンプルメニュー

脂肪燃焼を目的とした練習メニューを考えてみました。

対象は100mを2’00程度で泳ぐと

息が切れてしまう程度の泳力の人とします。

 

up  

 50×4 1’40

kick  

 50×4 2’00 on-board (板キック)

drill  

 25×4 1’00 kick (12.5m)→swim (12.5m)

main swim  

 50×4 1’30 target heart rate : 110bpm  

 50×4 1’25 target heart rate : 120bpm  

 50×8 1’20 target heart rate : 140bpm

Down  

 50×6 1’30

 

〜解説〜

メインスイムでキックもちゃんと打って欲しいので

メイン前にキックスイムのドリルを組み込みました。

メインは徐々にサークルを少なくして 体への負荷を高めていきます。

乳酸閾値を超えないように 心拍数の管理をしっかりと行います。

心拍数が160bpm程度まで高まるようであれば

サークルを遅くして対応します。

 

まとめ

ダイエットに最適な運動強度は諸説あり

明確な結論が得られていないことがわかりました。

私は乳酸閾値付近の運動強度が有効だと思いますが

今後の研究次第では考えを改める必要があるかもしれません。

 

参考文献

1) 健康づくりのための身体活動基準2013, 厚生労働省ホームページ

2) Appropriate Physical Activity Intervention Strategies for Weight Loss and Prevention of Weight Regain for Adults. Med Sci Sports Exerc 41: 459-471, 2009

3) Romijn JA et al., Regulation of endogenous fat and carbohydrate metabolism to exercise intensity and duration. Am J Physiol 265 : 380-391, 1993

4) Van Loon LJC. et al., The effects of increasing exercise intensity on muscle fuel utilization in humans. J Physiol 536 : 295-304, 2001

5) Saris W. et al., Substrate oxidation differences between high- and low-intensity exercise and compensated over 24 hours in obese men. Int. J. Obes 28 : 759-765, 2004

6) Slentz CA. et al., Effects of the amount of exercise on body weight, body composition, and measures of central obesity : STRRIDE- a randomized controlled study. Arch Intern Med 164 : 31-39, 2004 


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