水着の寿命は?水着の劣化原因とその対策

水泳で用いる水着は長いこと使い続けると

水着が持つ本来の力を失います。

特に競泳用の水着はタイムを出すための技術が詰まっているため

水着の力がどの程度持続するのか興味深いところです。

今回は、水着の劣化メカニズム、水着の寿命、

劣化を防ぐ方法を検討してみます。

水着は劣化する

水着は劣化します。

生地が薄くなり透けてきます。

大会で用いるレース用水着の場合は

劣化により撥水性などが低下して

水着本来の力が出せなくなってきます。

 

個人的な感覚では

大会用水着は3〜5回くらい使用すると

劣化が始まっている印象です。

では、そもそも水着の劣化とはどのようなものでしょうか。

 

水着の劣化の原因

ミズノのホームページを見てみますと

水着の劣化には水着を構成する繊維の一つである

ポリウレタンが関わっているようです1)

 

水着にはポリエステルとポリウレタンという

二種類の繊維が主に使われています。

特にポリウレタンは伸縮性があり

体にフィットすることが求められる水着には必要な素材です。

しかし、残念なことに

このポリウレタンが劣化しやすいという訳です。

 

ポリウレタンの性質

ポリウレタンが劣化することで

繊維の伸張性の低下(たるむ)やささくれ,

生地が薄くなったりします。

 

ポリウレタンは塩素,熱,摩擦などに弱い性質をもちます。

従って、水が通りやすい部分(背中,おしりなど)は

塩素に接しやすいため劣化が早くなります。

 

一方、ポリウレタンが水着の劣化に関与するということは

ポリウレタンの使用量が少ない水着は

劣化しにくい水着ということになります。

ポリウレタンを使用していない水着は実際にあります。

アリーナのタフスーツなどは100%ポリエステルです。

タフスーツは名前の通り、劣化しにくい水着といえます。

 

撥水加工や親水加工の劣化の原因

水着の劣化,特に繊維の劣化には

ポリウレタンの劣化が関与することが分かりました。

では,撥水加工や親水加工の劣化には何が関与するのでしょうか。

 

結論から述べると,明確な答えは得られませんでした。

というのも,撥水加工や親水加工は企業秘密であり

各種加工がどのような技術によって達成されているか,

その情報が非常に少ないからです。

 

しかし,限られた情報から

各種加工の劣化について検討してみます。

 

国際水泳連盟(FINA)は2010年以降より、水着に使用できる素材は

「繊維を織る・編む・紡ぐという工程でのみ加工した素材」に限定しているため

各種加工も繊維を紡ぐまでの段階で行われていることになります。

織り上がった生地の上から何かしらの加工をすることはできません。

 

つまり,水着の生地を構成する繊維,一本一本に加工がしてあるはずなので

繊維の間が開いてしまうと撥水性や親水性は減少してしまうでしょう。

ちなみにこの加工のイメージは

山本化学工業のホームページのイラストが参考になります2)

従って、ポリウレタンの劣化に伴う繊維伸張性の低下やささくれは

各種加工にダイレクトに影響するものと考えられます。

 

まとめますと,

撥水・親水加工の劣化メカニズムは不明です。

しかし,各種加工が繊維に対する加工である以上、

ポリウレタンの劣化に伴う繊維のたるみやささくれは

撥水性や親水性に影響を及ぼすものと考えます。

 

水着の寿命は?

横浜市消費生活総合センターのホームページに

水着の劣化に関する苦情とメーカー側の回答が記載されていました。

それによると,どの水着かは分かりませんが

水着の耐用時間はおよそ80時間のようです3)。

また,ゴールドウインのホームページでも

耐用時間は80時間となっていました4)。

 

水着を構成する繊維のうち

ポリウレタンの占める割合によっても変わるとは思いますが

水着の耐用時間はおおよそ80時間とみてよさそうです。

 

しかし,「耐用時間」は水着が使えなくなってしまうまでの話であるため

水着の持つ力(撥水性や親水性など)はどの程度持続するのでしょうか。

 

これについても残念ながら情報がありませんでした。

おそらく,水着の管理方法や水着の種類,加工方法によって

大きく結果が変わってしまうからでしょう。

しかし,適切に水着を管理することで

レース用水着の各種加工の効果は持続できると思います。

 

水着の劣化を予防する方法

先ほど述べたように

水着劣化の原因となるポリウレタンは

塩素,摩擦,熱に弱いです1,3)

従って,以下のような手入れと使用上の注意が必要となります。

 

〜手入れ〜

1.水着を脱いだら水洗いする(しぼらない)

2.陰干しする(直射日光に当てない)

 

〜使用上の注意〜

1.高温は避ける

 車内,サウナ,ジャグジーなどはNGです。

 ドライヤーなどでの水着を乾燥させるのもよくないです。

 

2.洗濯機で洗わない

 洗剤が線維を痛めること,洗濯物同士の摩擦もよくないです。

 

3.化学物質に曝露しない

 洗剤,保存時の防虫剤などに曝露しないことが大切です。

 

おわりに

水着の劣化についてまとめてみました。

水着の劣化にはポリウレタンが関与しており,

練習用水着にはポリウレタンがあまり含まれていない水着を

選択するとよいことも分かりました。

 

また,レース用水着の水着効果がどの程度持続するか

明確な結論は得られなかったものの

水着の管理を適切に行うことで水着の効果を

より長く持続できることが推測出来ました。

 

水着一つとってみても非常に奥が深いですね。

 

参考文献

1)ミズノ(競泳)ホームページ

 (http://www.mizuno.jp/swim/basic/swimwear/)

2)山本化学工業ホームページ

 (http://www.yamamoto-bio.com/news/news150413.html)

3)横浜市消費生活総合センターホームページ

 (http://www.yokohama-consumer.or.jp/casestudy/life/life10)

4)株式会社ゴールドウインホームページ

 (http://www.goldwin.co.jp/customer/)


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コメント

  1. より:

    以前コメントさせていただいたものです
    水着も奥が深いですね
    コメント後ネットを見ていたところ、撥水についてはうぶ毛が関係していて里芋の葉っぱに落ちた水滴が転がるのに近い仕組みがあるというのも見ました
    加工についてこれまでfinaの規則にまで目を向けようとしたことがなかったのでなるほど!と思いました
    水着の取り扱い方についても気をつけていこうと思います
    今回はお忙しいところありがとうございました!

    1. 水泳のメニュー作成者 より:

      コメントありがとうございます!
      また,撥水加工についての情報もご紹介頂きありがとうございました。
      とても参考になります!

      繊維に産毛のような加工が施されているのであれば
      繊維の間が広がってしまうと(繊維の密度が低下すると)
      撥水機能は低下してしまうと思います。
      ポリウレタンの劣化と撥水性の劣化に関連性があることは
      間違いなさそうですね。

      今後も疑問等がございましたら
      遠慮なくコメント頂ければ幸いです。
      私も勉強になりました。
      ありがとうございました!

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