水泳のテーパー~大会で最高の結果を残すために~

テーパーは大会前の総仕上げです。

テーパーをかけることでパフォーマンスが向上することは経験的にも理解できますが

適切なテーパーの方法を学ぶ機会は意外に少ないです。

今回はスイミングファーステストと

スイミングファーステスト発刊以降の論文から

テーパーの方法を検討します。

テーパーとは何か

テーパーとは主要とする大会の数週間前から

トレーニング量を減らしていくことを指します。

テーパーの目的は,パフォーマンスの向上です。

疲労を抜き,心と体を大会に備えます。

 

ちなみにスイミングファーステストには

テーパー後に選手の能力が

2〜4%向上すると記載されています。

 

テーパーによってなぜパフォーマンスが改善するのか

テーパーを行うことによって以下のような変化が生じます。

1.最大酸素摂取量の増加1.2.3)

2.筋力とパワーの向上4,5)

3.筋肉中のグリコーゲン量の増加6,7)

 

また,スイミングファーステストには

テーパーの効果として以下のような変化が生じると記載してありました。

1.筋力とパワーの向上 (特に速筋に対して顕著に表れる)

2.最大酸素摂取量は増加しない

3.有酸素持久力は増加する

 (恐らく泳ぎの効率改善によるものと考えられる)

 

多少の結果の違いはありますが

いずれにしても筋力やパワーの向上は見込めるようです。

 

テーパーの方法

テーパーの方法について表にまとめました。

スイミングファーステストに分かりやすい表がありましたので

一部修正して以下に記載します。

taper1.006

乳酸閾値の強度とは乳酸が蓄積し始める強度です。

「乳酸閾値以下の強度のトレーニングスピード」では

「通常期の80%以上のスピードを確保」と書いてあります。

これはつまり、いたずらにスピードを下げすぎないように、

と解釈することができると思います。

 

一方、2007年のテーパーに関するメタアナリシスでは

テーパーの方法について以下のように結論づけられていました8)

taper1.007

2007年以降、テーパーに関する体系的な総説はありません。

従って、2007年のメタアナリシスの結果を

主に参考にするのがいいと思います。

なお,progressive taperとは

少しずつトレーニング量を下げていくテーパーです。

いきなりガツンとトレーニング量を下げるのは

step taperやdrop taperと呼ばれます。

このレビューを見る限り

少しずつトレーニング量を少なくしていく方がよいようです。

 

テーパーの具体的な方法

スイミングファーステストにおけるテーパーの方法

テーパーは全部で3週としています。

まずテーパー1週目のポイントをまとめました。

trainign.008

次にテーパー第2週です。

trainign.009

テーパー第2週は

トレーニング内容はテーパー第1週とほぼ同じです。

全体的なトレーニング量が減っています。

 

最後はテーパー第3週についてですが

大会の3日前までは第2週と同じトレーニングを行い

大会3日前からは

ウォーミングアップ・ドリル・クールダウン,

短距離のレースペースのみとします。

 

2000年シドニー五輪前のオーストラリアチームのテーパー

2002年にシドニー五輪前のオーストラリアチームの

テーパーを報告した論文が出ています9)。

オーストラリアチームが行っていたテーパーの詳細は分かりませんが

トレーニング量の示したグラフがありましたので以下に記載します。

ol.010

これをみると一日のトレーニング量は

テーパー後期になるほど低下し,

最終的に1日2000m程度に落ち着いています。

 

まとめ

テーパーの方法を過去の文献から概観しました。

テーパーはただ休む期間ではありません。

テーパーでは

全体のトレーニング量は減少させつつも

運動強度は下げず、

スプリント系のトレーニングも継続した方がよいようです。

 

また、各個人で通常のトレーニング量やトレーニング内容が異なるため

テーパーの内容もアレンジする必要があります。

可能であれば、大きな大会の半年前くらいに

一度短いテーパーを行ってみて

自分に合ったテーパーを模索するのも有効だと思います。

 

参考文献

1.Jeukendrup A. E. et al. Physiological changes in male competitive cyclists after two weeks of intensified training. Int. J. Sports Med. 13:534–541, 1992.

2.Margaritis I. S. et al., Antioxidant supplementation and tapering exercise improve exercise-induced antioxidant response. J. Am. Coll. Nutr. 22:147–156, 2003.

3.Neary J. P. et al., Effects of different stepwise reduction taper protocols on cycling perfor- mance. Can. J. Appl. Physiol. 28:576–587, 2003.

4.Hooper S. L. et al., Effects of three tapering techniques on the performance, forces and psychometric measures of competitive swimmers. Eur. J. Appl. Physiol. 78: 258–263, 1998.

5.Johns R. A. et al., Effects of taper on swim power, stroke distance, and performance. Med. Sci. Sports Exerc. 24:1141–1146, 1992.

6.Walker J. L. et al., Dietary carbohydrate, muscle glycogen content, and endurance performance in well-trained women. J. Appl. Physiol. 88: 2151–2158, 2000.

7.Neary J. P. et al., Effects of taper on endurance cycling capacity and single muscle fiber properties. Med. Sci. Sports Exerc. 35:1875–1881, 2003

8.Bosquet L. J. et al. Effects of Tapering on Performance: A Meta-Analysis. Med. Sci. Sports Exerc.  39: 1358–1365, 2007

9.Mujika I. et al., Swimming performance changes during the final 3 weeks of training leading to the Sydney 2000 Olympic Games. Int J Sports Med. 23(8):582-7. 2002


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