
筋力トレーニングは
水泳の特に短距離選手の競技力改善に
有効である可能性があります。
それでは,どんな筋力トレーニングのメニューが有効なのでしょうか。
これまで報告されている研究をまとめても
明確な結論は得られません。
(参考:水泳に筋力トレーニングは必要か?)
そこで今回は研究結果ではなく
実際の現場で用いられている筋力トレーニングの内容をみてみます。
今回紹介する筋力トレーニングのプログラム内容は
経験的な要素が多く含まれていると思いますが
経験的な要素も重要だと思います。
一流選手の筋力トレーニングのプログラムを概観することで
もしかしたら何かしらの共通点が見いだせるかもしれません。
海外のホームページを色々調査してみました。
Cullen Jonesの筋力トレーニングメニュー1)
アメリカの水泳選手カレン・ジョーンズの
陸上トレーニングメニューを紹介します。
曜日ごとにトレーニングプログラムを分けています。
Monday:
Dynamic warm up
Dumbbell rotation on physioball ×4sets
Bench press 3×8 reps
Bands circuit
Legs throws 3×15 reps
Tuesday:
Dynamic warmup
Medicine ball circuit ×4sets
Leg press 3×6reps
Leg raise 2×10reps
Lat pull down 3×8reps
Leg curls 3×8reps
Thursday:
Dynamic warmup
Dumbbell rotation on physioball ×4sets
Bench press 3×8reps
Bands circuit
Friday:
Dynamic warmup
Medicine ball circuit ×2sets
One leg squat 3×8reps (left and right)
Leg raise 3×10reps
Lat pull down 3×8reps
Leg curls 3×8reps
<Medicine Ball Circuitの内容の一部>
Wood Choppers Straight 1×20 reps
Standing Chest Pass 2×20 reps
Standing Overhead Pass 2×20reps
One Hand Shot Put (Left and Right) 1×20reps
Sitting Hip Toss (Left and Right) 1×20reps
Wood Choppers Left and Right Knee 2×15 reps
Standing Russian Twists Throw Backs 2×15 reps
Sitting Chest Pass 2×25 reps
Sitting Overhead Pass 2×25 reps
Sitting One Hand Shot Put (Left and Right) 1×20 reps
他にもありますが量が多いので割愛します。
特徴
上肢のトレーニングはメディシンボールなどが中心,
下肢はレジスタンストレーニングが中心となっています。
Jason Lezakの筋力トレーニングメニュー2)
同じくアメリカのジェイソン・レザックの
陸上トレーニングメニューを紹介します。
シーズン中期のパワー期のトレーニングメニューです。
筋トレの頻度は週3回で
3×12 12-10-8 10-8-6 10-8-6
と書いてある場合,
1週目,2週目,3週目,4週目の順に回数が決められています。
なお,使用した重量は不明ですが
恐らく最終セットでいっぱいいっぱいになる重量を選択していると思います。
筋力トレーニングプログラム
Incline Hammer Strength Chest Press
3×12 12-10-8 10-8-6 10-8-6
Standing Pull Downs
3×12 12-10-8 10-8-6 10-8-6
Narrow Grip Seated Row
3×12 12-10-8 10-8-6 10-8-6
Seated Shoulder Raises
3×12 12-10-8 10-8-6 10-8-6
One Arm Standing Tricep Press
3×12 12-10-8 10-8-6 10-8-6
Seated One Arm Curls
3×12 12-10-8 10-8-6 10-8-6
Wide Grip Lat Pull Downs
3×12 12-10-8 10-8-6 10-8-6
Step Ups
3×12 12-10-8 10-8-6 10-8-6
Seated Quad Extensions
3×12 12-10-8 10-8-6 10-8-6
Hamstring Curls
3×12 12-10-8 10-8-6 10-8-6
Seated Independent Calf Press
3×12 12-10-8 10-8-6 10-8-6
Seated Leg Press
3×12 12-10-8 10-8-6 10-8-6
特徴
ベンチプレスはインクライン(傾斜をつける)で行っています。
また,背中の筋肉を重点的に鍛えているところから
水泳選手には背筋群が必要であることが伺えます。
メディシンボールや体幹部のトレーニングが少ないですが
情報ソースがボディビルのホームページなので
記載されていなかっただけなのかもしれません。
Justin Norrisの筋力トレーニング3)
これは以前紹介したものと同じです。
<1日目と3日目>
キャッチでの内側/外側への回転:8-8-6-6 (数字は回数を示す)
アイソメトリックスクワット:6-6-6-4
重錘をつけての懸垂:8-8-6-6
オルタネート・ダンベルベンチプレス:6-6-6-6
グルータル/ヒップマシーン:8-8-8-8
ツイストマシーン:8-8-8-8
スイムベンチ:20秒-20秒-20秒-20秒
腹筋:200+静的維持運動
<2日目と4日目>
メディシンボール・プルオーバー:6-6-6-6
オルタネート・ダンベルベンチプレス:8-8-6-6
シングルアーム・ラットプルダウン:8-8-6-6
スプリングボード上にてシングルレッグ・スクワット:6-6-6-6
ボディブレード:8-8-6-6
トラベリング・ランジ:6-6-6-6
スイスボール上にて
メディシンボール・チェストパス:6-6-6-6
腹筋:200+静的維持運動
<その他>
スイスボール
クランチ:20×2
ロシアンツイスト:20×2
レッグタック(片脚):20×2
ブリッジ:30×2
オウン・セレクション:30×2
メディシンボール
サイドパス:20×2
オーバーヘッド投げ:30×2
ツイスト:30×2
下腹部:30×2
足へのメディシンボールクランチ:30×2
まとめ
かなりの情報量になってしまいました。
一流の水泳選手は様々なトレーニングを行っているようです。
特徴としてはメディシンボールなど
通常の筋力トレーニングでは行わないトレーニングを
実施していることが多いようです。
通常の筋力トレーニングのみでは
水泳に用いる筋肉となりづらいのかもしれません。
自分で筋力トレーニングのメニューを作成するときは
一流選手の筋力トレーニングのメニューを参考に
自分自身の体型や専門種目に沿った
筋力トレーニングのメニューを作るといいと思います。
しかし,恐らく筋力トレーニングのメニューの正解はないと思うので
シーズンごとに試行錯誤して
自分の感覚にあったメニューを作成する必要があるでしょう。
参考文献
1)https://www.teamunify.com/guljac/UserFiles/File/SwimmerCorner/Dryland%20Training/Dry%20Land%20Training%20For%20Top%20US%20Swimmers.pdf
2)http://www.bodybuilding.com/fun/jasonlezak1.htm
3)Newton RU et al., Strength and Power Training of Australian Olympic Swimmers.Strength and Conditioning Journal.24 (3): 7-15, 2002