水泳の腰痛予防に効果的なトレーニングとは

水泳選手で多い故障部位として

腰が挙げられました。

なぜ腰の故障が多いのでしょうか。

そして、腰の故障予防のためには

どのようなトレーニングが必要でしょうか。

水泳では腰痛が多い

以前の記事で、腰痛は水泳選手に多い故障であることを紹介しました。

(参考:水泳選手の故障好発部位はどこだろう

 

そして,腰痛の原因となる疾患を大別すると以下の通りです1,2)。

1.筋・筋膜性腰痛

2.腰椎分離症など

3.椎間板性腰痛(椎間板障害,椎間板ヘルニア)

 

まず,それぞれについて

症状と発症原因を概観していきます。

なお,治療方法については医師の正確な鑑別が必要です。

今回はあくまで腰痛の予防方法と

予防に効果的な運動を模索することを目的とします。

 

筋・筋膜性腰痛

症状

腰背部に部位の限局しない鈍痛

 

受傷メカニズム

腰背筋に負荷の加わるトレーニングを行ったのちの

疲労性疼痛と考えられている。

 

腰椎分離症など

腰椎の伸展動作の繰り返しによって生じる腰痛を指す。

バタフライ,平泳ぎでは呼吸動作の際に

腰椎伸展が強制されるため発生頻度が高いと考えられている。

一方,クロール,背泳ぎの選手でも

腰椎伸展位や腰椎の回旋動作によって発症することが多い。

 

症状

初期は練習終了後の腰部違和感,重だるさ,鈍痛

進行すると練習中にも腰痛出現

体を反らす動作で疼痛が増強することが多い

 

受傷メカニズム

腰椎伸展や回線の繰り返しによって

椎間関節や腰椎椎弓の関節突起間部に繰り返しの

外力が加わることによって生じる。

 

椎間板性腰痛(椎間板障害,椎間板ヘルニア)

症状

典型例では腰痛に下肢放散痛,下肢しびれを伴う

 

受傷メカニズム

繰り返しの体幹の回旋運動や

非荷重環境下での長時間のトレーニングが原因と考えられているが

明確な結論は得られていない。

 

 

腰痛予防のために

予防には日頃のコンディショニングが大切と述べられています1)。

腰痛予防の方法について文献ごとに列挙していきます。

 

水泳の腰痛予防の方法 (文献1より)

①アイシング

  練習直後に行う。皮膚が赤くになりチクチク痛む感じから、

  感覚がなくなる程度のところで休止する。

  15~30分実施。

 

②ストレッチング

  股関節周囲筋、体側、広背筋、大胸筋など

 

③筋力トレーニング

  脊柱起立筋、多裂筋などの伸筋群

  腹横筋、腹斜筋、腸腰筋などの屈筋群

  殿筋、ハムストリングス、広背筋など骨盤に付着する筋群

 

④マッサージ

  圧迫法を中心に実施。腰背部や疲労部位に対して実施

 

水泳の腰痛予防の方法  (文献3より)

文献3では腰痛の発症機序と予防トレーニングについて

以下のようにまとめられていました。

 

腰痛の発症機序

①体幹筋による骨盤固定が不十分

 股関節の屈伸動作と同時に骨盤の前後傾が過剰に生じてしまう

 

②腸腰筋などの短縮による局所へのストレス

 股関節伸展時に腰椎前彎を増強し、腰部に過負荷を強いる

 

腰痛予防のための機能的トレーニングの目的と内容

①肩甲帯(肩甲上腕関節、肩甲胸郭関節)の可動性

 

②胸郭、胸椎の可動性

  バランスボール上での体幹回旋トレーニングなど

 

③体幹の固定性(深部腹筋群による固定)

  ストレッチポール上での片脚上げ

  側臥位にて両脚上げ

  prone bridge (elbow-knee)

  side bridge (elbow-toe)

 

④股関節の可動性

  腸腰筋、ハムストリングスなどのストレッチ

 

⑤大殿筋の効率的な収縮

  片脚ブリッジ

  腹臥位にて、膝屈曲位での股関節伸展運動

 

日本水泳連盟作成の補強トレーニングDVDでは (文献4より)

さらに灯台下暗しとはよく言ったもので

日水連作成・監修の補強トレーニングDVDの内容は

以下のようになっています。

 

①Draw-in シリーズ:腹圧のエクササイズ

②Backシリーズ:背中のエクササイズ

③Back Bridgeシリーズ:殿筋のエクササイズ

④Front Bridgeシリーズ:スタビライゼーションエクササイズ

⑤Standingシリーズ:立った状態でのバランスエクササイズ

 

体幹部へのトレーニングを推奨しているのがよく分かります。

 

水泳における腰痛予防のまとめ

様々な文献を見てきましたが

腰痛予防のためのトレーニングの全体像がみえてきました。

トレーニングすべき内容として

①柔軟性:肩関節,体幹,股関節

②筋力:体幹,骨盤・股関節周囲

が挙げられます。

 

肩関節や股関節を柔らかくして腰痛が過剰な運動をしないようにする,

体幹深部筋を動員して腰椎の過剰な運動を避ける,

というアプローチが水泳の腰痛予防に効果的のようです。

 

おわりに

今回は水泳における腰痛予防のための

トレーニング方法について検索してみました。

少し長くなってしまいましたので

腰痛予防のトレーニングの具体的な方法については

また改めて紹介したいと思います。

 

参考文献

1)林光俊 編,ナショナルチームドクター・トレーナーが書いた種目別スポーツ障害の診療、57-78、2007

2)福林徹、史野根生 編、新版 スポーツ整形外科学、407-412、2011

3)浅井麻紀 編、スポーツ外傷・障害の理学診断・理学療法ガイド、518-525、2015(第2版)

4)日本水泳連盟 作成・監修、競泳選手育成プログラム-補強トレーニング編-、2010

 


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