水泳のパワートレーニング (SP3) とはなんだろう

スイミングファーステストの分類の中でも

少し扱いが変わっているのがSP3です。

いわゆるパワートレーニングと呼ばれるものですが

このSP3を理解するにはどのような知識が必要なのでしょうか。

スイミングファーステストにおけるSP3の目的について

スイミングファーステストにはSP3の目的について

「ストローク動作のパワー向上」

と述べられています。

 

そして,ストロークのパワーとは

「スイマーがストローク動作で発揮する力の大きさと

 その力を発揮するスピードをかけ合わせたもの」

と定義されています。

ストロークのパワーとスプリント力には正の相関関係があることも

明らかとなっています1)

つまりストロークのパワーがある人ほど

スプリント力がある,ということになります。

 

では、ストロークパワーは

どのようにしたら高めることが出来るでしょうか。

 

ストロークパワーを理解する

スイミングファーステストにおける

「ストロークのパワー」を高める方法を検討するには

まず一般的な

「筋パワー」を高める方法について理解する必要があります。

 

筋パワーとは

筋パワーは

「筋力」×「速度」で表される数値であり

「瞬発力」とも呼ばれます2)

 

筋パワーを高める方法は

速さを意識したトレーニングを行う必要があることが

これまでの研究で明らかになっています3,4)

 

筋パワーに関わる要因

American College of Sports Medicine (ACSM) の論文では

次のように記載されていました3)

 

筋パワーの最大値に関与する要因

1.一定時間における筋力の増加率 (maximal rate of force development (RFD))

2.遅い筋収縮,速い筋収縮の時の筋力

3.ストレッチ・ショートニングサイクル

4.運動パターンやスキルの調整

 

つまり,

細かい説明は省きますが

筋パワーをより発揮するためには

 

・筋力を高める

・一瞬で筋力を発揮する能力(筋力の増加率)を高める

・遅い,速い動きの中でも筋力が発揮できるようにする

・目的とする動きの習熟

 

といった要素をトレーニングする必要があります。

従って,ただ筋力を高めるだけは

筋パワーは増加しないことが考えられます。

 

筋パワーを高めるためのトレーニング

筋パワーを高めるトレーニング方法については

ACSMから以下のような提言があります3)

 

負荷量:30〜60% 1RM

運動速度:高速

回数:3〜6回

休憩時間:体幹部のトレーニングでは2〜3分

     その他のトレーニングでは1〜2分

セット数:1〜3セット

頻度:初心者は週に2〜3回,熟練者で週に4〜6回

 

この筋パワーを高めるトレーニングの効果については

筋パワーの改善に僅かに効果があった4)

もしくは効果があったとする報告5)があります。

 

水泳のストロークパワーを高めるには

筋パワーを高める方法についての資料は整いました。

スイミングファーステストのSP3の内容を今一度復習し

ストロークパワーを高める方法を検討します。

 

SP3のトレーニング効果

1次効果

・筋力の向上

・筋肉が効率よく力を発揮できるようになる など

2次効果

・筋肉中のATP,CPの貯蔵量が増加する など 

 

SP3の1本あたりの距離

・10〜12.5m 

 

SP3のセットの長さ

・50〜300m

 

SP3のレスト時間

・45〜120秒

・セットレストは2〜3分

 

SP3のトレーニングスピード

・全力か,ほぼ全速力

 

SP3を理解する

スイミングファーステストで述べられている内容は

ACSMからの提言と重複する部分が多いです。

SP3,ストロークパワーを高めるためには

以下のようなポイントがあるかと思います。

 

1.短距離で行う

2.ストローク速度は最高速度で行う

 (レースよりも速くてよい)

3.泳速は最高速度で行う

 (レースよりも速くてよい)

4.レストは比較的長めでもよい

 

運動の速度を最高速度に維持することが重要なので

疲労物質が貯まりはじめる前に運動を終了し,

それを反復することになります。

ストローク速度や泳速はレースよりも速くてよいと思います。

その理由として,

SP3の目的は筋パワー,ストロークパワーの向上なので

レースを想定したトレーニングではないからです。

ただし,SP3を行うとフォームが乱れる危険性もあるので

そこは注意が必要です。

 

おわりに

スプリンターにとってストロークパワーは

競技力向上に非常に重要な要素でした。

日常の練習メニューにどんどん組み込むべきだと考えています。

 

参考文献

1) Johanson R.L., Sharp R.L. and Hedrick C.E. Relationship of swimming power and dry land power to sprint freestyle performance: A multiple regression approach. Journal of swimming Research 9: 10-14

2) 市橋則明, 瞬発力の測定法, 理学療法 22, 80-86, 2005

3) Kraemer WJ. et al. American college of sports medicine position stand. Progression models in resistance training for healthy adults. Med Sci Sports Exerc : 2002, 34 (2), 364-380

4) Tschopp M. et al., Is power training or conventional resistance training better for function in elderly persons? A meta-analysis. Age and aging: 2011, 40 (5), 549-556

5) Porter MM., Power training for older adults. Appl Physiol Nut Metab :  2006, 31 (2), 87-94


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